魔法使い時々王子

一方、城の中では王族やその他招待された人々が到着し、大広間でお茶の準備がされていた。

アリスの側近であるレイは、この休暇にアリスも参加することになりホッとしていた。


「…アリス様、今夜は夕食会の後恒例のダンスパーティです。」


「ええ。」

紅茶を飲みながら答えるアリスにレイは少し眉を顰めた。

厨房では今夜の料理の準備が進められ、メイド達も慌ただしく部屋の準備に追われていた。


「…ねぇ、北棟の部屋って誰が使うの?」

メイドのジェーンがシーツを抱えながら言った。

「アリス様よ、急遽来ることになったんですって。」

「まぁ、久しぶりね。」

「本当ね、何年ぶりかしら。」


アリスは最近、夏の休暇はコカールで過ごしていなかった為、メイド達はアリスの来訪に驚いた様子だった。


「さっきアリス様にお茶を出したけどなんだか様子がおかしかったわよ。…無気力で反応が薄いっていうか…」


もう1人のメイドの言葉にジェーンは首を傾げた。


「体調でも悪いのかしら。。」

「でもレイ様からは何も聞いていないけど。ジェーン、これアリス様のシーツ。」

ジェーンはシーツを受け取るとアリスの部屋へと向かった。