魔法使い時々王子

アリスは部屋に戻ると、そっと扉を閉め、大きく息を吐いた。

胸の奥に溜まっていたものが、ようやく外へ出た気がした。

――やっぱり、ニーナは私のことを嫌っているのよね。

昼間の席の配置、視線、距離。
思い返せば思い返すほど、偶然ではないように思えてくる。

アリスは窓辺に歩み寄り、夜の庭を見下ろした。

――でも、それくらい……いいじゃない。

小さな嫌がらせくらい、
させてあげてもいい。

だって私は、
彼女から大切な人を奪ったのだから。

そう思うことで、自分の胸の痛みを押し込めるように、
アリスは何度も心の中で繰り返した。

それでも、完全には消えてくれない違和感が、
静かに、確かに、そこに残っていた。