「…私がコカールに?何故??行かないって伝えてあったはずなのに。。」


「…詳しくは分かりませんが、レイ様がアリス様もコカールに行くことになった、と。」


シドは時計を見た。魔法は12時間で解けてしまう。
あと6時間…


「…王女、すぐに追いかけなければ。」


「え、ええ。わたしも行くわ!」


アリスとシドはコカールに向かってしまった偽アリスを追いかけた。

シドと王女慌てて去っていく姿をリアンは不安そうな表情で見つめた。


***

馬小屋へやって来た。シドは鞍を乗せて馬で追いかける準備をした。


「…追いつくには馬で行くしか無い。俺が言ってどうにかしてくる。」

「ダメよ、わたしも行く。後ろに乗せて!」


「乗馬の経験は?」

「ないわ!」

ハッキリと答えるアリスにシドは深く溜息をついた。


「…失礼。」


シドはアリスのおでこに指を2本当てて目を閉じた。

「…なんの魔法をかけたの?」

「乗馬が出来るよう頭と身体に思い込みをさせた。さぁ、乗って。」

アリスは初めて馬になるのに手慣れた様子でシドの後ろにひょいっと乗った。


シドは手綱を握りしめてコカールに向かった馬車を追った。