その後も暫く町を見て周り、町の中心にある噴水に座って少し休憩をした。


「あー、楽しかったわぁ。本当に。ねぇ、ありがとう。私の我儘に付き合ってくれて。」

アリスはシドの顔をまっすぐに見てお礼を言った。

シドは噴水の前にある大時計を見た。

「…そろそろ帰ったほうがいいな。」

「えー、、」

アリスは子供みたいに口をへのじにした。

「ほら、帰るんだ。」

シドはアリスに手を差し出した。

アリスは渋々、シドの手をとって噴水から降りた。


再びシドの魔法で門番を騙して王宮に入った。

なんとか誰にも気付かれずに無事に戻って来れたようだ。


「…はぁ、本当に楽しかったわ。ねぇ、今度また王宮を抜け出す時は助けてね。」

アリスの言葉にシドは冗談じゃないと首を横に振った。


「さぁ早く部屋に戻って。」

アリスは頷くと、自分の部屋に戻ろうとしたその時ーー、


「…アリス様?!」

驚いた顔でアリスの顔を見るのはリアンだった。

シドは見つかったのがリアンで少しホッとした。


「…あれ、どうしてアリス様。。先程ご家族と一緒に馬車でコカールへ出発されたと…」


リアンの言葉にシドとアリスは顔を見合わせた。