結婚式まで十日。
アリスは部屋で退屈を持て余していた。まだ正式な王妃ではないため公務はなく、セオとも初日の対面以来まったく顔を合わせていない。広すぎる静けさが、かえって心細さを募らせた。
机の上にはミロ王宮の地図が広げられている。
これまで訪れた場所には赤い丸がついていたが、まだほとんど空白のままだ。
その地図の端に、ふと目を引く文字があった。
「アウルム図書館」
建物の位置は、王宮の南棟のさらに奥――アリスがまだ足を踏み入れたことのない区域だ。
「…図書館?」
アリスは少し胸が高鳴るのを感じ、椅子から立ち上がった。
南棟の奥へ進むと、薄暗い回廊の先に重厚な扉があった。
扉には古い金細工で〈AURUM〉と刻まれている。
ゆっくり扉を押して中へ入ると――
そこは、静寂と光が支配する大きな図書館だった。
高い天井、柱のようにそびえる本棚。
窓から差し込む柔らかな光が、埃の粒を金色に輝かせている。
人影はなく、ページをめくる音すらしない。
アリスは思わず息を飲んだ。
「…素敵…」
その言葉が自然と漏れるほど、そこはどこよりも落ち着ける場所だった。
アリスは部屋で退屈を持て余していた。まだ正式な王妃ではないため公務はなく、セオとも初日の対面以来まったく顔を合わせていない。広すぎる静けさが、かえって心細さを募らせた。
机の上にはミロ王宮の地図が広げられている。
これまで訪れた場所には赤い丸がついていたが、まだほとんど空白のままだ。
その地図の端に、ふと目を引く文字があった。
「アウルム図書館」
建物の位置は、王宮の南棟のさらに奥――アリスがまだ足を踏み入れたことのない区域だ。
「…図書館?」
アリスは少し胸が高鳴るのを感じ、椅子から立ち上がった。
南棟の奥へ進むと、薄暗い回廊の先に重厚な扉があった。
扉には古い金細工で〈AURUM〉と刻まれている。
ゆっくり扉を押して中へ入ると――
そこは、静寂と光が支配する大きな図書館だった。
高い天井、柱のようにそびえる本棚。
窓から差し込む柔らかな光が、埃の粒を金色に輝かせている。
人影はなく、ページをめくる音すらしない。
アリスは思わず息を飲んだ。
「…素敵…」
その言葉が自然と漏れるほど、そこはどこよりも落ち着ける場所だった。



