魔法使い時々王子

アリスは少し深呼吸すると、まっすぐにセオを見つめて言った。

「もし、大地の祝日と重なることが良くないのであれば……父に手紙を書き、日にちを改めるよう進言いたします。セオ王子のお身体に負担が掛かるのなら、式の時間も短くするよう伝えます。」

その言葉を遮るように、ウィルが即座に口を挟んだ。

「そのようにしていただきたいと思います。」

アリスの言葉を利用するような声音。アリスはそれを感じ取った。

だが次の瞬間、セオがすっと片手を上げた。

「……ウィル、席を外せ。」

静かだが、有無を言わせぬ声音だった。

ウィルは一瞬「まずい」という顔をしたが、何も言わず頭を下げて部屋を出ていった。
扉が閉まる音は、妙に重く響いた。

ウィルがいなくなると、セオはアリスに向き直る。

「すまなかった。ウィルの態度について……私から謝らせてもらう。」

アリスはすぐに首を横に振った。

「……いいえ。どうやら私の父がこちらのご意見を何も伺わず、一方的に事を進めていたようですね。恥ずかしい話ですが……私は、この婚姻がどのように取り決められたのか、何も知りませんでした。」

アリスは少し視線を落とし、続けた。

「……さきほど、私を見ていた皆さんの視線の意味が……やっと少し、わかった気がします。」

その言葉に、セオは一瞬だけ視線を伏せた。
悲しみと、申し訳なさと、何か確かな決意が混じったまなざしだった。