「お願い!一度でいいから自由に町を見て回りたいの。王宮の中は息が詰まるのよ!!」
「ーーっ、」
アリスの言葉にシドは昔自分も感じていた事を思い出した。
「………分かりました。自分は何をすれば?」
シドの言葉にアリスは子供のように無邪気に笑顔を見せた。
「…まず、町までの道を案内して欲しいの。一度も行った事がないから道が分からなくて。それと、、私の分身か何かを魔法で出せたりしない、、?」
アリスの要望を聞いてシドは溜息をついた。
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2人は人気の無い中庭の木の下に来た。
「…分身を作ります。王女様の髪の毛を一本下さい。」
シドの言葉にアリスは銀髪の長い美しい髪の毛を一本抜いて差し出した。
シドはそれを受け取ると、地面に指で丸を描いた。すると、その丸は光ってその場に魔法陣が出来た。
輪を描くように広がる魔法陣にアリスの髪を一本落と、シドは目をつぶった。
すると、ゆっくりとアリスの姿が光の中から現れた。
「…うわぁ、すごい。。」
目の前に自分の分身が現れるとアリスは目を輝かせた。
「分身は12時間で消えてしまいます。」
「分かったわ!!じゃあさっそく町に行きましょ!!」
城門ではシドが軽く魔法を使い、門番の目を欺く。
まやかしの帳(とばり)で、アリスの姿は一般侍女に見えている。
門番「補佐官殿、また外出ですか?」
シド「あ、ああ。ロザリア様からちょっとした用を頼まれたんだ。こっちは助手」
アリス(小声)「助手って……」
シド(小声)「黙って」
城門を抜けた瞬間、アリスは小さく息をのんだ。
空気が違う。匂いが違う。人の声が、遠くからでも聞こえてくる。
「……すごい、本当に町だ……!」
立ち並ぶ屋台。子どもたちのはしゃぎ声。香ばしいパンの匂い。
すべてが、絵巻物の中にしかなかった世界。
アリスは興奮気味に走り出す。
「おい!待てよ!!」
シドは走り出したアリスを追いかけた。



