大広間は眩い光に満ち、
建国記念の舞踏会にふさわしく、上流貴族たちのざわめきが響いていた。
シドはアリスの一歩後ろ、
護衛としての“定められた立ち位置”に静かに立っていた。
ロザリアから聞かされた、アリスの婚姻話。
(……今日、この場で正式に発表される)
覚悟しているはずだった。
なのに胸の奥はずっと重く、どこか深く沈んだままだ。
アリスは美しいドレスをまとい、
王女としてふさわしい落ち着いた微笑を浮かべている。
――けれど、その微笑がどこか無理をしていることを
シドはすぐに気づいた。
楽団の音がふっと止まり、
会場に静寂が落ちた。
「これより、国王陛下のご挨拶である!」
アリスが一歩前へ進む。
シドも自然と彼女の背を護る位置に寄り添った。
国王が壇上に立つ。
シドはただ無表情に、周囲を冷静に見渡すふりをしながら――
胸の奥で感情がきしむのを押し殺した。
「本日、皆に伝えるべき報せがある。」
国王の声が響きわたる。
「我が娘、アリス・イスタリアは、ミロ王国の第一王子、セオ殿下と婚姻を結ぶこととなった。」
ざわめきが広がり、
黄金のシャンデリアがその音を反射するように震えた。
アリスの肩が、ほんのわずかに揺れた。
シドはその揺れを見逃さなかった。
アリスは前を向き、
王女としての微笑みを作り出した。
けれどその笑みは淡く、儚く、すぐに消えそうだった。
「皆さま……どうかよろしくお願いいたします」
震えを押し込めた声。
必死に気丈に振る舞おうとする姿に、
シドは胸の奥がまた強く痛んだ。
自分には何もできない。
隣に立っていても、励ましの言葉すらかけられない。
ただ――
彼女のそばを離れないように、
ほんの少し、気づかれない程度に立ち位置を寄せる。
ただ――
その小さな背中を守るように、シドは静かにそこに立ち続けた。
建国記念の舞踏会にふさわしく、上流貴族たちのざわめきが響いていた。
シドはアリスの一歩後ろ、
護衛としての“定められた立ち位置”に静かに立っていた。
ロザリアから聞かされた、アリスの婚姻話。
(……今日、この場で正式に発表される)
覚悟しているはずだった。
なのに胸の奥はずっと重く、どこか深く沈んだままだ。
アリスは美しいドレスをまとい、
王女としてふさわしい落ち着いた微笑を浮かべている。
――けれど、その微笑がどこか無理をしていることを
シドはすぐに気づいた。
楽団の音がふっと止まり、
会場に静寂が落ちた。
「これより、国王陛下のご挨拶である!」
アリスが一歩前へ進む。
シドも自然と彼女の背を護る位置に寄り添った。
国王が壇上に立つ。
シドはただ無表情に、周囲を冷静に見渡すふりをしながら――
胸の奥で感情がきしむのを押し殺した。
「本日、皆に伝えるべき報せがある。」
国王の声が響きわたる。
「我が娘、アリス・イスタリアは、ミロ王国の第一王子、セオ殿下と婚姻を結ぶこととなった。」
ざわめきが広がり、
黄金のシャンデリアがその音を反射するように震えた。
アリスの肩が、ほんのわずかに揺れた。
シドはその揺れを見逃さなかった。
アリスは前を向き、
王女としての微笑みを作り出した。
けれどその笑みは淡く、儚く、すぐに消えそうだった。
「皆さま……どうかよろしくお願いいたします」
震えを押し込めた声。
必死に気丈に振る舞おうとする姿に、
シドは胸の奥がまた強く痛んだ。
自分には何もできない。
隣に立っていても、励ましの言葉すらかけられない。
ただ――
彼女のそばを離れないように、
ほんの少し、気づかれない程度に立ち位置を寄せる。
ただ――
その小さな背中を守るように、シドは静かにそこに立ち続けた。



