夕食を終え、ルイとレイはアリスを自室に呼んでいた。
アリスが部屋に入ると、二人の険しい顔色に気づき、不安げに声をかける。
「どうしたの? 2人とも……顔色が悪いわね」
レイは小さく息をつき、足を落ち着かなく動かしながら言葉を探す。
その沈黙を破ったのは、ルイだった。静かにアリスに告げる。
「……アリス、婚姻の話が決まった。相手はミロ王国の第一王子、セオだ」
アリスの肩が小さく震えた。
「……え、そんな……急に……」
声が震え、椅子に腰を下ろす。両手で膝を抱え込むようにしながら、言葉が続かない。
「どうして……どうしてこんなに急なの……」
ルイはそっと、しかし真剣な面持ちで言う。
「父上の決断は固い……舞踏会で正式に発表される。
アリス、現実を受け止めるしかない」
アリスは小さく息をつき、視線を落とす。
胸の奥には、悲しみと焦りが交錯していた。
心の準備もないまま、未来を一気に押し付けられた気分。
まだ理解できない、受け止めきれない――そんな複雑な思いで涙がこぼれそうになる。
レイがそっと声をかける。
「アリス様……私たちもできる限り支えます。決して一人ではありません」
アリスはわずかに頷く。
「……ありがとう……でも、急すぎる……まだ心の整理がつかない……」
ルイは黙って頷き、彼女を優しく見守った。
その目には、妹の悲しみを何とか軽くしてやりたいという思いがあふれていた。



