イスタリア王宮の温室。
光が差し込むガラスの下で、アリスはひとつひとつの鉢に丁寧に水をやっていた。
花々の香りが穏やかに漂う中、足音が近づく。
「アリス、ルイ様から手紙を預かってきたよ」
シドは控えめに声をかけ、封筒を差し出した。
「ルイは?」
アリスは手を止め、顔を上げた。
「急ぎ国王に呼ばれたと言っていた」
シドは少し背筋を伸ばして、封筒を差し出す。
アリスは受け取り、封を切る。文字は整った筆跡で、見覚えのある名前があった。
――ダリウス。
内容をちらりと確認した途端、アリスはすぐに手紙をしまい、深く息を吐いた。手紙には、アスタリト王国に到着したと書いてあった。
表情はわずかに硬く、しかし動揺は見せない。
温室の花々はいつもと変わらず咲いているのに、彼女の心だけが少しざわついていた。
「……何かあったか?」
シドは心配そうに尋ねるが、アリスは首を振る。
「大丈夫。何でもないわ」
しかしその声には、微かな緊張と落ち着かせようとする力が混じっていた。
シドは黙って頷き、少し離れて立つ。
その背後で、柔らかな光がふたりを包んでいた。
光が差し込むガラスの下で、アリスはひとつひとつの鉢に丁寧に水をやっていた。
花々の香りが穏やかに漂う中、足音が近づく。
「アリス、ルイ様から手紙を預かってきたよ」
シドは控えめに声をかけ、封筒を差し出した。
「ルイは?」
アリスは手を止め、顔を上げた。
「急ぎ国王に呼ばれたと言っていた」
シドは少し背筋を伸ばして、封筒を差し出す。
アリスは受け取り、封を切る。文字は整った筆跡で、見覚えのある名前があった。
――ダリウス。
内容をちらりと確認した途端、アリスはすぐに手紙をしまい、深く息を吐いた。手紙には、アスタリト王国に到着したと書いてあった。
表情はわずかに硬く、しかし動揺は見せない。
温室の花々はいつもと変わらず咲いているのに、彼女の心だけが少しざわついていた。
「……何かあったか?」
シドは心配そうに尋ねるが、アリスは首を振る。
「大丈夫。何でもないわ」
しかしその声には、微かな緊張と落ち着かせようとする力が混じっていた。
シドは黙って頷き、少し離れて立つ。
その背後で、柔らかな光がふたりを包んでいた。



