「ロザリアが弟子を迎えたと聞いたが――仕事は楽しいか?」
書棚の影から漏れる光が、金の髪を淡く照らしていた。ダリウスの声は柔らかく、それでいて相手の心の奥を覗くような静けさを帯びている。
シドは少し考え、そして真っ直ぐに答えた。
「はい。……とても、やりがいがあります」
ダリウスは小さく頷く。
「そうか。それは良かった」
言葉とは裏腹に、その瞳はわずかに探るようだった。
「アリスとも――親しくしているようだね?」
その名を出された瞬間、シドの表情がわずかに揺れる。
ほんの一瞬、目を逸らすように沈黙した。
ダリウスはその反応に気づいて、ふっと笑みを漏らした。
「そういう意味じゃない。安心してくれ」
シドはわずかに息を吐き、気まずそうに視線を戻した。
「……誤解を招くような関係ではありません」
「分かっているよ」
ダリウスはそう言って、少しだけ遠くを見た。
「アリスから君のことを聞いている。彼女は君を信頼しているようだ」
シドは言葉を失ったまま立ち尽くす。
静かな図書館に、ページをめくる音だけが響いていた。
「彼女のこと、これからも助けてあげてくれ」
その言葉には、いとことしての情と、どこか兄のような優しさが混じっていた。
シドは深く頭を下げた。
「……はい」
ダリウスは満足げに微笑み、手にしていた本を閉じた。
「君と話せて良かった。また、ゆっくり話そう」
そう言って去っていく背中を、シドはしばらく見送っていた。
書棚の影から漏れる光が、金の髪を淡く照らしていた。ダリウスの声は柔らかく、それでいて相手の心の奥を覗くような静けさを帯びている。
シドは少し考え、そして真っ直ぐに答えた。
「はい。……とても、やりがいがあります」
ダリウスは小さく頷く。
「そうか。それは良かった」
言葉とは裏腹に、その瞳はわずかに探るようだった。
「アリスとも――親しくしているようだね?」
その名を出された瞬間、シドの表情がわずかに揺れる。
ほんの一瞬、目を逸らすように沈黙した。
ダリウスはその反応に気づいて、ふっと笑みを漏らした。
「そういう意味じゃない。安心してくれ」
シドはわずかに息を吐き、気まずそうに視線を戻した。
「……誤解を招くような関係ではありません」
「分かっているよ」
ダリウスはそう言って、少しだけ遠くを見た。
「アリスから君のことを聞いている。彼女は君を信頼しているようだ」
シドは言葉を失ったまま立ち尽くす。
静かな図書館に、ページをめくる音だけが響いていた。
「彼女のこと、これからも助けてあげてくれ」
その言葉には、いとことしての情と、どこか兄のような優しさが混じっていた。
シドは深く頭を下げた。
「……はい」
ダリウスは満足げに微笑み、手にしていた本を閉じた。
「君と話せて良かった。また、ゆっくり話そう」
そう言って去っていく背中を、シドはしばらく見送っていた。



