北方の地方に差し掛かると、森と湿地が入り混じった荒れた景色が広がった。
木々の間から吹き抜ける風が、湿った土と落ち葉の匂いを運ぶ。
隊列は静かに進むが、その沈黙がかえって不気味な緊張感を生む。
「……何かいる」
シドは立ち止まり、視線を鋭く周囲に巡らせた。
魔力の波動が微かに揺れている。久しぶりの感覚に、胸がわずかに高鳴る。
アルバも隣で身を固め、剣の柄に手をかけた。
「やっぱりか……久しぶりに動きが活発になったな」
ルシアンは地図を広げたまま、一瞥して静かに頷く。
「ここで待つ。偵察部隊を先に進めるが、敵の動きは確実に捉える。シド、お前は後方から魔力で補佐せよ」
シドは控えめに頷く。
「了解……気配はわかる、まずは位置を特定しよう」
湿地の向こう、木立の陰に不自然なざわめきが生まれた。
魔物の存在は確かにある――冷たい空気の中に潜む、荒々しい生命の気配。
久しぶりに感じるこの緊張感に、シドの指先が微かに震える。
それは恐怖ではない。準備の整った、戦う者だけが知る昂ぶりだった。
アルバが低く呟く。
「さあ、久しぶりの舞台だな……」
シドは肩の力を抜き、静かに魔力を集中させる。
漆黒の黒衣の裾が風に揺れる。
「……行こう」
木々の間から吹き抜ける風が、湿った土と落ち葉の匂いを運ぶ。
隊列は静かに進むが、その沈黙がかえって不気味な緊張感を生む。
「……何かいる」
シドは立ち止まり、視線を鋭く周囲に巡らせた。
魔力の波動が微かに揺れている。久しぶりの感覚に、胸がわずかに高鳴る。
アルバも隣で身を固め、剣の柄に手をかけた。
「やっぱりか……久しぶりに動きが活発になったな」
ルシアンは地図を広げたまま、一瞥して静かに頷く。
「ここで待つ。偵察部隊を先に進めるが、敵の動きは確実に捉える。シド、お前は後方から魔力で補佐せよ」
シドは控えめに頷く。
「了解……気配はわかる、まずは位置を特定しよう」
湿地の向こう、木立の陰に不自然なざわめきが生まれた。
魔物の存在は確かにある――冷たい空気の中に潜む、荒々しい生命の気配。
久しぶりに感じるこの緊張感に、シドの指先が微かに震える。
それは恐怖ではない。準備の整った、戦う者だけが知る昂ぶりだった。
アルバが低く呟く。
「さあ、久しぶりの舞台だな……」
シドは肩の力を抜き、静かに魔力を集中させる。
漆黒の黒衣の裾が風に揺れる。
「……行こう」



