魔法使い時々王子

アリスがルーサの会話に驚いている頃、シドが静かに晩餐会の部屋に入って来た。

「ロザリア様、少々言伝です」
声は低く落ち着いている。ロザリアは軽く頷き、話を聞くと、手早く用件を受け取った。

その間、シドの視線は自然とアリスの隣に座るルーサと、笑みを浮かべるアリスに向いた。しかし、表情を変えず、心の中の感情を押し込めるように一瞬だけ見つめると、すぐにそっと目を逸らした。

シドは静かにその場を後にする。
アリスもルーサも、気づくことはなかった。
こうして、晩餐会のひとときは、柔らかな月明かりに包まれたまま幕を下ろした。