魔法使い時々王子

晩餐会が一段落し、華やかな食卓や談笑の声が落ち着きを見せる頃、会場の一角ではカクテルグラスを手にした人々が談笑を楽しんでいた。

アリスとルーサは、並んでソファに腰を下ろす。窓の外には月明かりが差し込み、室内の灯りと混ざって柔らかな光が二人を包む。

「今日はお疲れ様でした。訓練所での試合は素晴らしかったわ……」
アリスは微笑みながら、ルーサを見上げた。
「あなた、本当に不思議な人。あんな自由な剣さばき、初めて見たわ」

ルーサは目を丸くし、少し笑った。
「不思議、か……。そうか、君は俺のことをそんな風に思うのか」

アリスはくすっと笑い、視線を少し逸らす。

「ええ、あなたって王子らしくないところがあるのね。型に囚われず、壁がなくて……ちょっと羨ましいくらい」

ルーサは少し首を傾げ、興味深そうにアリスを見つめる。
「君……この王宮に馴染んでいないだろ?」

 アリスは驚きの表情を隠せない。
「えっ……?」

ルーサはにやりと笑い、視線を少しずらして訓練所での試合を思い浮かべるように言った。
「そういえば、今日試合をした魔法使いの弟子の剣捌き、君はよく見ていたな。……彼が好きなんだろ?」

アリスは顔を赤らめ、心臓が跳ねるのを感じた。

「そ、そんなこと……」

ルーサはその反応を楽しむかのように、軽く肩をすくめる。

「見ていればわかるものさ」

ソファの隣、月明かりに照らされたルーサの笑みを前に、アリスはその不思議さに、改めて目を奪われていた。