王立庭園に足を踏み入れると、四季折々の花々が彩る小径が広がり、中央には大きな噴水が水音を響かせていた。アリスは深呼吸をして、その豊かな香りを胸いっぱいに吸い込む。
「ここはイスタリアの象徴ともいえる庭園です。歴代の王妃方が手をかけ、育ててこられました」ロザリアが案内を添える。
噴水の傍らには、一際華やかな薔薇園が広がっていた。深紅、純白、淡桃色――色とりどりの薔薇には、歴代王妃の名が冠されている。
「こちらは“エレオノーラ”。先王妃のお名前をいただいております」
「“セレナ”。現王妃のお名前ですね」
アリスは足を止め、馴染みある薔薇を眺めて小さく微笑んだ。
その横でルーサが突然指を差す。
「この黄色い花は何という?」
「マリゴールドです」シドが即座に答える。
ルーサは首を傾げ、にやりと笑った。
「いや、これは“太陽の卵”だな。そう呼ぶほうが似合っている!」
アリスは思わず唇を押さえて笑い声を漏らす。
「太陽の卵……ふふっ、確かに鮮やかですものね」
ロザリアは少し眉をひそめつつも、薔薇園の方へ視線を移した。シドは花を見つめたまま、静かに続ける。
「……学術的にはマリゴールドですが、王子の名付けも一理あるかもしれません」
「だろう?」とルーサは満足げに噴水の縁に腰を下ろした。周囲の従者たちが慌てて視線を交わす中、アリスはまた小さく笑ってしまう。
シドはその笑みを横目に捉え、胸の奥にかすかな違和感を覚えながらも、口を開くことはなかった。
「ここはイスタリアの象徴ともいえる庭園です。歴代の王妃方が手をかけ、育ててこられました」ロザリアが案内を添える。
噴水の傍らには、一際華やかな薔薇園が広がっていた。深紅、純白、淡桃色――色とりどりの薔薇には、歴代王妃の名が冠されている。
「こちらは“エレオノーラ”。先王妃のお名前をいただいております」
「“セレナ”。現王妃のお名前ですね」
アリスは足を止め、馴染みある薔薇を眺めて小さく微笑んだ。
その横でルーサが突然指を差す。
「この黄色い花は何という?」
「マリゴールドです」シドが即座に答える。
ルーサは首を傾げ、にやりと笑った。
「いや、これは“太陽の卵”だな。そう呼ぶほうが似合っている!」
アリスは思わず唇を押さえて笑い声を漏らす。
「太陽の卵……ふふっ、確かに鮮やかですものね」
ロザリアは少し眉をひそめつつも、薔薇園の方へ視線を移した。シドは花を見つめたまま、静かに続ける。
「……学術的にはマリゴールドですが、王子の名付けも一理あるかもしれません」
「だろう?」とルーサは満足げに噴水の縁に腰を下ろした。周囲の従者たちが慌てて視線を交わす中、アリスはまた小さく笑ってしまう。
シドはその笑みを横目に捉え、胸の奥にかすかな違和感を覚えながらも、口を開くことはなかった。



