何なんだこの人はー、?!

シドは仕方なく温室の中に入った。

「…あなた、新しい庭師?見た事がない顔ね。この温室の草花は私が丹精込めて育ててるの。」


女性の言う通り確かに一部の草花が枯れてしまっている。

本来は水が流れているであろう水路は空っぽになっていた。

「……」

シドは黙って歩み寄ると、そっと目を閉じて魔力を使い周囲の水の流れを探る。
脳裏に浮かぶのは、地下配管に詰まった泥と枯葉の映像。

「詰まってるだけだ。」
一言だけ呟き、軽く手を振ると——水がざっと流れ出した。

女性の目が見開かれ、潤んだ植物たちが息を吹き返していく。

「すごい…ありがとう…本当に…」

シドはこれ以上関わると面倒だと思い足早にその場を後にした。