そしてあっという間にルーサ王子訪問の日。
王城の正門前。
夏の日差しに金と緋の旗が翻り、兵たちが整列していた。
出迎えの列の先頭には、国王や王妃。そしてルイ王子とソフィア王太子妃、ロザリア、そしてアリスが並んでいる。
王宮の大門が開かれ、金糸の刺繍を施した馬車がゆっくりと中庭に入ってきた。
見守る廷臣や兵士たちの視線が集まる中、馬車の扉が開き、現れたのは淡い金髪に深緑のマントを羽織った青年――ハムサ国の王子、ルーサだった。
「……ふむ」
彼はまず足元を見下ろし、石畳にしゃがみ込んだ。
迎えの言葉を述べようと一歩踏み出したルイ王子は、思わず動きを止める。
「この石畳、いい音がするな。……あ、ここはちょっと割れてる。君たち、気づいていた?」
護衛の騎士たちは顔を見合わせ、返答に困った。
ルーサは何事もなかったかのように立ち上がると、王族らしい礼をきちんと取る。
「イフタリア王国の皆さま、心よりの歓迎に感謝するよ。……ところで」
そこで言葉を切り、じっとルイを見つめた。
「あなたの瞳の色、昨日見た夢に出てきた湖と同じだ」
突拍子もない発言に、中庭がざわめく。
ルイの眉間には皺が寄るが、ルーサ本人は気にも留めず、今度はアリスに視線を移した。
「君は、夢の中で花を摘んだことはある?」
アリスは瞬きを繰り返し、答えを見失った。
その横でロザリアは小さくため息をつき、
「まったく……変わってないわね」と呟いた。
王城の正門前。
夏の日差しに金と緋の旗が翻り、兵たちが整列していた。
出迎えの列の先頭には、国王や王妃。そしてルイ王子とソフィア王太子妃、ロザリア、そしてアリスが並んでいる。
王宮の大門が開かれ、金糸の刺繍を施した馬車がゆっくりと中庭に入ってきた。
見守る廷臣や兵士たちの視線が集まる中、馬車の扉が開き、現れたのは淡い金髪に深緑のマントを羽織った青年――ハムサ国の王子、ルーサだった。
「……ふむ」
彼はまず足元を見下ろし、石畳にしゃがみ込んだ。
迎えの言葉を述べようと一歩踏み出したルイ王子は、思わず動きを止める。
「この石畳、いい音がするな。……あ、ここはちょっと割れてる。君たち、気づいていた?」
護衛の騎士たちは顔を見合わせ、返答に困った。
ルーサは何事もなかったかのように立ち上がると、王族らしい礼をきちんと取る。
「イフタリア王国の皆さま、心よりの歓迎に感謝するよ。……ところで」
そこで言葉を切り、じっとルイを見つめた。
「あなたの瞳の色、昨日見た夢に出てきた湖と同じだ」
突拍子もない発言に、中庭がざわめく。
ルイの眉間には皺が寄るが、ルーサ本人は気にも留めず、今度はアリスに視線を移した。
「君は、夢の中で花を摘んだことはある?」
アリスは瞬きを繰り返し、答えを見失った。
その横でロザリアは小さくため息をつき、
「まったく……変わってないわね」と呟いた。



