ガチャ……
荷解きを終えて少し休んでいたシドは自室のドアをそっと開けた。
やる事がなくなってしまい、少し王宮内を見て回ることにした。
王宮の中はとても広い。フカフカの絨毯が床一面に敷かれ、壁には絵画がいくつも飾ってあり、至る所に大きな花瓶に花が飾ってある。
暫くフラフラと歩いていると中庭に出た。中庭には噴水とガラス張りで造られた温室があった。
シドは温室の中を覗いてみた。するの1人の少女が腕を組み何か困ったように顔をしかめていた。
すると、女性はパッと視線を上げシドの目が合った。
「…っ、」
シドは慌てて視線をそらすと、その場を去ろうとしたがー、
「…ねぇ、待って!あなた庭師ね?大変なの、ここの水が止まってしまって、花が枯れてるの!」
女性はシドを見るや否や声を上げた。
「…いや、俺はー、」
「とにかく見てちょうだい!」
シドは腕をグイッと引っ張られた。



