シドは軽く息を整えながら、ロザリアのもとへ歩み寄った。
「ロザリア大臣。急ぎの書簡をお持ちしました」
差し出された封筒には見覚えのある紋章が押されている。
ロザリアは目を細め、封蝋を指先でなぞった。
「……この封は……メアリー?」
手紙を開ける前から分かった。昔の悪友の独特な魔力を感じた。
彼女は周囲の視線を避けるように立ち位置を変え、静かに封を切る。
中から現れたのは、癖のある筆跡で綴られた短い文だった。
『親愛なるロザリア。
我が主、ルーサ王子がイスタリアを訪れたいと強く希望している。名目は親善だが、あなたの国にはきっと面倒をかける。昔の友として忠告しておく。』
読み終えたロザリアは小さく息を吐き、手紙を折り畳んだ。
「……そう来たのね」
彼女の呟きに、シドが眉をひそめる。
「ルーサ王子……ですか?」
ロザリアは真剣な眼差しを向け、頷いた。
「ええ。覚悟しておいた方がいいわ。――嵐が来る」
「ロザリア大臣。急ぎの書簡をお持ちしました」
差し出された封筒には見覚えのある紋章が押されている。
ロザリアは目を細め、封蝋を指先でなぞった。
「……この封は……メアリー?」
手紙を開ける前から分かった。昔の悪友の独特な魔力を感じた。
彼女は周囲の視線を避けるように立ち位置を変え、静かに封を切る。
中から現れたのは、癖のある筆跡で綴られた短い文だった。
『親愛なるロザリア。
我が主、ルーサ王子がイスタリアを訪れたいと強く希望している。名目は親善だが、あなたの国にはきっと面倒をかける。昔の友として忠告しておく。』
読み終えたロザリアは小さく息を吐き、手紙を折り畳んだ。
「……そう来たのね」
彼女の呟きに、シドが眉をひそめる。
「ルーサ王子……ですか?」
ロザリアは真剣な眼差しを向け、頷いた。
「ええ。覚悟しておいた方がいいわ。――嵐が来る」



