大広間はきらびやかな灯りに包まれ、ルイ王子の息子の誕生日を祝う音楽と笑い声が絶え間なく響いていた。王宮の一角は祝宴の熱気に満ち、客たちは次々と挨拶を交わし、贅を尽くした料理と酒に酔いしれている。
そんな華やぎの中に、シドの姿があった。彼は祝宴の客ではなく、急ぎの書簡をロザリアへ届けに来ただけだった。場違いな雰囲気を纏い、人々の輪に加わることもなく、淡々と任務を果たそうとする。
ふと視線を移すと、賑やかな中心から離れ、ひっそりとバルコニーに佇むアリスの姿があった。太陽の光に照らされた横顔は静かで、けれどどこか寂しげでもある。
「……こんなところで、どうしたんだ?」
思わず声をかけると、アリスは振り向いて柔らかく微笑んだ。
「私があの中にいても、邪魔になるだけでしょう?」
その言葉に、シドの胸に小さな痛みが走る。――かつて、自分も同じように場からはじかれ、居場所を見失っていた。誰にも気づかれぬよう、隅で過ごした日々。アリスの言葉は、あの頃の自分の声そのもののように響いた。
賑やかな祝宴の音が遠のき、二人の間だけが静かに切り取られたような時間が流れる。シドはただ黙ってアリスを見つめ、胸の奥で「放っておけない」という思いを強くするのだった。
そんな華やぎの中に、シドの姿があった。彼は祝宴の客ではなく、急ぎの書簡をロザリアへ届けに来ただけだった。場違いな雰囲気を纏い、人々の輪に加わることもなく、淡々と任務を果たそうとする。
ふと視線を移すと、賑やかな中心から離れ、ひっそりとバルコニーに佇むアリスの姿があった。太陽の光に照らされた横顔は静かで、けれどどこか寂しげでもある。
「……こんなところで、どうしたんだ?」
思わず声をかけると、アリスは振り向いて柔らかく微笑んだ。
「私があの中にいても、邪魔になるだけでしょう?」
その言葉に、シドの胸に小さな痛みが走る。――かつて、自分も同じように場からはじかれ、居場所を見失っていた。誰にも気づかれぬよう、隅で過ごした日々。アリスの言葉は、あの頃の自分の声そのもののように響いた。
賑やかな祝宴の音が遠のき、二人の間だけが静かに切り取られたような時間が流れる。シドはただ黙ってアリスを見つめ、胸の奥で「放っておけない」という思いを強くするのだった。



