魔法使い時々王子

1人静かに部屋へ戻ったシドは、椅子に腰を下ろして小さく息をついた。

セラという新しい存在。あっけらかんとしているようで、妙に人の懐に入ってくる。
予想外の出会いだったが、王宮での仕事は間違いなく彼女の力になるだろう。

自分がアスタリトの元王子だということ――
これまでそれは、どんな相手にもひた隠しにしてきた。
なのに、セラに知られたとき、不思議と気が軽くなっていた。

(……バカみたいに軽い反応だったけど、だからこそ、か)

肩の力が抜けたような、そんな感覚。
それが少しだけ、心地よくもあった。

ふと、今日のリアンの表情が頭に浮かぶ。

セラが何気なく放った言葉。咄嗟に止めた自分。
秘密を抱えたままの自分と、それを知らないリアン――

少しだけ、寂しそうな顔をしていた。

(……俺は、どうしたいんだろうな)

窓の外では夜風が静かに吹いていた。
新しい風が、王宮に入り込んできたような気がしていた。