「ま、待ってよ!」
まさか引き止められるとは思っていなかったのか、猫のように目を見開いて立ち止まる。
ハルマに聞きたいこと、たくさんある。
もうアンタの気持ちわかんないよ。
どうして何もなかったみたいに話すことができるの?
私たち、友達じゃなかったんでしょ。
「なんで…」
やっと吐き出せた言葉はそれだけだった。
続く言葉は自分でもわからなかった。
一拍の沈黙の後、ハルマはただ意地悪そうに笑う。
「オレら、友達じゃん。」
何の答えにもなっていない。
けれど、その一言だけで私たちの間にあったわだかまりは全て消えてしまった。
「もう行くから。お前もあいつ待たせてんだろ?
早く行けよ。」
ぶっきらぼうに、でも全く隠しきれていない優しさが滲む声で言い放つ。
すぐに遠くなっていく背中を見ながら、私はまだ歩み始めることが出来なかった。
影も見えなくなってからようやく一息付き、足を進めた。
