お盆休みに入る前日。
優樹と茉莉花はアプリ開発の案をまとめて、クライアント先を訪問した。

担当の内野と戸田が会議室に案内してくれる。

「早速ですが、最近の流行や話題になっているものを、雑誌やSNSと照らし合わせてまとめました。それを踏まえてコンテンツを選び、具体的にアプリのどのページに表示するかをご提案させていただきます」

茉莉花が資料を並べて説明する。
優樹は隣でその様子を見守った。

「こちらが、各ページを開いた時のコンテンツです」
「うん、いいですね。具体的で分かりやすくて。頭の中にアプリのイメージが湧きました。これをもとに、弊社のプラグラミングチームに託したいと思います。ここまで来れば、私たちのやるべきことはほぼクリアです。お二人ともありがとうございました。今後は途中経過で、その都度ご相談させていただきますね」
「こちらこそ、ありがとうございました。引き続きどうぞよろしくお願いいたします」

打ち合わせを終えて席立つと、「あ、そうだ」と内野が書類ケースに手をやった。

「うちの取引先からたくさんいただいたんですけど、よかったらお二人にも。ホテルのアフタヌーンティーの招待券なの。お盆期間に開催するみたい。本格的な英国スタイルで、豪華な感じよ」
「え、いただいてもよろしいのですか？」
「ええ、どうぞ。オフィスも休みに入るし、みんな帰省や旅行の予定があって、誰も行かないみたいだから。無理ならお気になさらずね」
「ありがとうございます。ぜひ行かせていただきます」
「ほんと？ それならよかった。楽しんできてくださいね」

笑顔で見送られ、茉莉花たちはオフィスビルをあとにした。