12時になるなり沙和に腕を引かれて、社員食堂へ行く。
またしてもスペシャルランチをゲットすると、テーブルに着くやいなや、沙和は身を乗り出してきた。
「で? やっぱり男なのね?」
「えっと、はい」
「きゃー! それって、例の彼よね? 上手くいったんだ」
「うん、沙和ちゃんのおかげで」
「いいってことよー! なになに、二人でスパに行ったの?」
「そうなの。すごく素敵なところだったよ」
すると沙和は、へえーと感心する。
「茉莉花をこんな笑顔にさせるなんて。やるわね、その彼」
え?と茉莉花は首をかしげた。
「どういうこと?」
「だって茉莉花、何年も叶わない想いを抱えてたでしょ? いつもどこか寂しそうな雰囲気だった。それなのに、今は幸せオーラ全開! 恋する乙女って感じで、笑顔がキラキラしてる。すごいわね。私がずっと、どうにかして茉莉花に元気出してほしいって思ってたのに、その彼はこうも見事に茉莉花を幸せにしてみせたんだから」
沙和ちゃん……、と茉莉花は言葉に詰まる。
「ありがとう。私のこと、ずっと気にかけてくれてたんだね」
「そりゃそうよ。純粋過ぎるくらい純粋で、自分の気持ちを押し殺してるんだもん。茉莉花には絶対に幸せになってほしいって、いつも願ってた。よかったね、茉莉花。会わなくても分かる、その彼はすごくいい人だって」
「うん、すごく優しくて温かい人だよ」
「ふふっ、そっか。いつか紹介してね」
「いや、それが。沙和ちゃん、もう会ってるよ」
は?と沙和が声を上ずらせる。
「会ってる? 私が、茉莉花のその彼氏に?」
「うん。なんなら今日も」
「え、ちょ、待って。それって……」
沙和はゴクリと喉を鳴らしてから、茉莉花に顔を寄せた。
「もしかして、会社の人?」
「うん。白瀬部長」
「はっ? えっ、まさかの! 白瀬部長って、優くんじゃーん!」
「しーっ! 沙和ちゃんったら」
ごめん、と慌てて沙和は口をつぐむ。
すると、トレーを手にした華恵と小澤が通りかかった。
「あら、茉莉花ちゃん。優くんがどうかしたの?」
「いえ、あの……」
言い淀んでいると、沙和がニヤリと口を開く。
「茉莉花、優くんとラブラブみたいなんです」
「そうなんだ! なんだかキュンとする。茉莉花ちゃん、最近可愛さに磨きがかかってるものね」
「華恵さんもそう思います? そうなんですよ、茉莉花、優くんに愛されちゃって」
さ、沙和ちゃん!と、茉莉花は小声で止める。
「へえ、よかったな清水」
小澤にまで声をかけられ、茉莉花は身を縮こめた。
「はい、ありがとうございます」
「いつか俺にも紹介してくれよな。可愛い後輩の相手がどんなやつか、気になるからさ」
「それは、その……」
すると沙和がまたしても意味ありげに口を開く。
「それはもう、驚きと感動のご対面になりますよ。茉莉花の彼、すごい人なので」
「そうなんだ、楽しみにしてる」
「はい、ぜひとも!」
沙和のドヤ顔に、茉莉花は半泣きの表情を浮かべていた。
またしてもスペシャルランチをゲットすると、テーブルに着くやいなや、沙和は身を乗り出してきた。
「で? やっぱり男なのね?」
「えっと、はい」
「きゃー! それって、例の彼よね? 上手くいったんだ」
「うん、沙和ちゃんのおかげで」
「いいってことよー! なになに、二人でスパに行ったの?」
「そうなの。すごく素敵なところだったよ」
すると沙和は、へえーと感心する。
「茉莉花をこんな笑顔にさせるなんて。やるわね、その彼」
え?と茉莉花は首をかしげた。
「どういうこと?」
「だって茉莉花、何年も叶わない想いを抱えてたでしょ? いつもどこか寂しそうな雰囲気だった。それなのに、今は幸せオーラ全開! 恋する乙女って感じで、笑顔がキラキラしてる。すごいわね。私がずっと、どうにかして茉莉花に元気出してほしいって思ってたのに、その彼はこうも見事に茉莉花を幸せにしてみせたんだから」
沙和ちゃん……、と茉莉花は言葉に詰まる。
「ありがとう。私のこと、ずっと気にかけてくれてたんだね」
「そりゃそうよ。純粋過ぎるくらい純粋で、自分の気持ちを押し殺してるんだもん。茉莉花には絶対に幸せになってほしいって、いつも願ってた。よかったね、茉莉花。会わなくても分かる、その彼はすごくいい人だって」
「うん、すごく優しくて温かい人だよ」
「ふふっ、そっか。いつか紹介してね」
「いや、それが。沙和ちゃん、もう会ってるよ」
は?と沙和が声を上ずらせる。
「会ってる? 私が、茉莉花のその彼氏に?」
「うん。なんなら今日も」
「え、ちょ、待って。それって……」
沙和はゴクリと喉を鳴らしてから、茉莉花に顔を寄せた。
「もしかして、会社の人?」
「うん。白瀬部長」
「はっ? えっ、まさかの! 白瀬部長って、優くんじゃーん!」
「しーっ! 沙和ちゃんったら」
ごめん、と慌てて沙和は口をつぐむ。
すると、トレーを手にした華恵と小澤が通りかかった。
「あら、茉莉花ちゃん。優くんがどうかしたの?」
「いえ、あの……」
言い淀んでいると、沙和がニヤリと口を開く。
「茉莉花、優くんとラブラブみたいなんです」
「そうなんだ! なんだかキュンとする。茉莉花ちゃん、最近可愛さに磨きがかかってるものね」
「華恵さんもそう思います? そうなんですよ、茉莉花、優くんに愛されちゃって」
さ、沙和ちゃん!と、茉莉花は小声で止める。
「へえ、よかったな清水」
小澤にまで声をかけられ、茉莉花は身を縮こめた。
「はい、ありがとうございます」
「いつか俺にも紹介してくれよな。可愛い後輩の相手がどんなやつか、気になるからさ」
「それは、その……」
すると沙和がまたしても意味ありげに口を開く。
「それはもう、驚きと感動のご対面になりますよ。茉莉花の彼、すごい人なので」
「そうなんだ、楽しみにしてる」
「はい、ぜひとも!」
沙和のドヤ顔に、茉莉花は半泣きの表情を浮かべていた。



