翌朝は、鶴岡八幡宮で蓮の花が綺麗に咲くのを見ながら散歩し、朝食を食べてチェックアウトすると、車で逗子マリーナに向かった。

「わあ、ヤシの木! 鎌倉の古都のイメージとは違って、アメリカ西海岸みたいな雰囲気ですね」

海を見ながらランチを楽しむと、スパリゾートに行くことにした。

「水着持って来てないですよ?」と茉莉花が言うと、優樹はあっさり「買えばいい」と答える。

ショップに並んだ色とりどりの水着から、茉莉花はピンクのホルターネックのビキニを選んだ。

「見て、優くん。桜貝のピンク色!」

そう言って無邪気に笑うが、優樹は他の男の視線が気になって仕方ない。
黙って茉莉花の手を引くと、ザブザブとプールに入った。

「すごい! 海と繋がってるみたい」

目の前の海と一体化したようなインフィニティープールに、茉莉花は目を輝かせる。

「素敵、もう夢の世界ね」

茉莉花の笑顔はとにかく可愛く、優樹は心の中で、これ以上はやめてくれと思うほど己を律するのに必死だった。

「こんな幸せ、いつまで続くのかな……」

傾きかけた夕陽を見ながら、茉莉花がぽつりと呟く。

「いつまでも続くよ。俺が茉莉花を幸せにしてみせるから」

茉莉花は驚いたように優樹を振り返ると、「うん!」と明るく頷く。

帰りの車の中でウトウトとまどろむ茉莉花に、優樹は「寝てな」と頭をなでた。

「ずっと一緒にいてね、優くん……」

そう言って、すうっと眠りに落ちる茉莉花に、優樹はクスッと笑う。

「もちろん。ずっと一緒だ、茉莉花」

聞こえていないはずの茉莉花が、目を閉じたまま、ふふっと笑みをこぼした。