「茉莉花、茉莉花?」
名前を呼ばれて、茉莉花はハッと我に返る。
いつの間にか仕事の手が止まっていた。
「あ、ごめん沙和ちゃん。なあに?」
「いや、うーん……。ランチの時に話すよ」
「分かった。なんでも相談してね」
「いやいや、こっちのセリフだから」
「え? 何か言った?」
「いい、大丈夫」
短く答える沙和に、ん?と首をかしげてから、茉莉花は仕事に戻る。
その時、会議を終えた小澤と優樹がオフィスに戻って来た。
二人で何やら相談しながら、茉莉花の後ろを通り過ぎる。
茉莉花はちらりと様子をうかがった。
(あれから部長、メッセージくれなくなっちゃった。もちろん電話もないから、しゃべってないままもう4日目だよ。私からはかけづらいし……。あの言葉は幻だったのかな)
俺は君が好きだ。
確かにそう言われたはずなのに、そのあとそそくさと去って行き、プツリとメッセージも途絶えた。
(それってつまり、言わなければよかったって後悔してるってことよね? 時間と共になかったことにしようって。要するに、フェイドアウトか……)
はあ、と思わずため息がもれる。
その時お昼の12時になり、沙和がガタン!と椅子から立ち上がった。
「茉莉花、行くわよ! 早く!」
「え、待って。なに? 沙和ちゃん。限定50食のスペシャルランチを狙ってるの?」
「いいから!」
グイグイと手を引かれて社員食堂に入る。
スペシャルランチを注文すると、トレーを持って奥のテーブル席を陣取った。
名前を呼ばれて、茉莉花はハッと我に返る。
いつの間にか仕事の手が止まっていた。
「あ、ごめん沙和ちゃん。なあに?」
「いや、うーん……。ランチの時に話すよ」
「分かった。なんでも相談してね」
「いやいや、こっちのセリフだから」
「え? 何か言った?」
「いい、大丈夫」
短く答える沙和に、ん?と首をかしげてから、茉莉花は仕事に戻る。
その時、会議を終えた小澤と優樹がオフィスに戻って来た。
二人で何やら相談しながら、茉莉花の後ろを通り過ぎる。
茉莉花はちらりと様子をうかがった。
(あれから部長、メッセージくれなくなっちゃった。もちろん電話もないから、しゃべってないままもう4日目だよ。私からはかけづらいし……。あの言葉は幻だったのかな)
俺は君が好きだ。
確かにそう言われたはずなのに、そのあとそそくさと去って行き、プツリとメッセージも途絶えた。
(それってつまり、言わなければよかったって後悔してるってことよね? 時間と共になかったことにしようって。要するに、フェイドアウトか……)
はあ、と思わずため息がもれる。
その時お昼の12時になり、沙和がガタン!と椅子から立ち上がった。
「茉莉花、行くわよ! 早く!」
「え、待って。なに? 沙和ちゃん。限定50食のスペシャルランチを狙ってるの?」
「いいから!」
グイグイと手を引かれて社員食堂に入る。
スペシャルランチを注文すると、トレーを持って奥のテーブル席を陣取った。



