「私も似たような感じです。男性と1対1でお話しするのが苦手で……。デートに誘われても、何かの修行? ってくらいに二人きりの時間が苦痛で。だからもう誰ともおつき合いしようと思えないんですよね。好きな人は遠くから眺めるだけでいいって思ってました。恋に恋するってことなのかな? 子どもっぽいですね、私」
寂しそうに呟いて、手にしたグラスを見つめる茉莉花に、優樹は思わず身を乗り出す。
「そんなことはない」
「……え?」
「自分のことをそんなふうに思ってはいけない。君はちゃんと、誰かに愛されて大切にされるべき人だから」
茉莉花は驚いたように瞬きを繰り返した。
「えっと、部長? 急にどうされました?」
「俺は知っている、君がどんなに純粋な心の持ち主か。君は自分よりも周りの幸せを願う、優しい心の持ち主だ。誰よりも君こそが幸せになるべきだと、俺は思う」
そう言うと優樹は真っ直ぐに茉莉花を見つめて、小さく問う。
「ちゃんと泣いたのか?」
「……え?」
「押し殺してきた辛い気持ちを、ちゃんと吐き出せたのか? 傷ついた心を、ちゃんと癒やせたのか? 相手を困らせまいと、誰にも言えずにいた本当の気持ちを、誰かに受け止めてもらえたのか?」
「部長、あの……、何を?」
呟いた茉莉花の瞳がみるみるうちに潤み、大粒の涙がこぼれ落ちた。
「何も考えなくていい。気持ちを言葉で封じるな。俺が全て受け止めてやるから」
優樹は腕を伸ばすと、茉莉花を胸に抱き寄せる。
「辛かったな。一人でよくがんばった」
「部長、私……」
「いい、何も言うな。このまま黙ってろ」
腕の中でしゃくり上げる茉莉花を、優樹はただひたすら抱きしめ、優しく頭をなでていた。
寂しそうに呟いて、手にしたグラスを見つめる茉莉花に、優樹は思わず身を乗り出す。
「そんなことはない」
「……え?」
「自分のことをそんなふうに思ってはいけない。君はちゃんと、誰かに愛されて大切にされるべき人だから」
茉莉花は驚いたように瞬きを繰り返した。
「えっと、部長? 急にどうされました?」
「俺は知っている、君がどんなに純粋な心の持ち主か。君は自分よりも周りの幸せを願う、優しい心の持ち主だ。誰よりも君こそが幸せになるべきだと、俺は思う」
そう言うと優樹は真っ直ぐに茉莉花を見つめて、小さく問う。
「ちゃんと泣いたのか?」
「……え?」
「押し殺してきた辛い気持ちを、ちゃんと吐き出せたのか? 傷ついた心を、ちゃんと癒やせたのか? 相手を困らせまいと、誰にも言えずにいた本当の気持ちを、誰かに受け止めてもらえたのか?」
「部長、あの……、何を?」
呟いた茉莉花の瞳がみるみるうちに潤み、大粒の涙がこぼれ落ちた。
「何も考えなくていい。気持ちを言葉で封じるな。俺が全て受け止めてやるから」
優樹は腕を伸ばすと、茉莉花を胸に抱き寄せる。
「辛かったな。一人でよくがんばった」
「部長、私……」
「いい、何も言うな。このまま黙ってろ」
腕の中でしゃくり上げる茉莉花を、優樹はただひたすら抱きしめ、優しく頭をなでていた。



