「ごちそうさまでした。とても美味しかったです」
「こちらこそ、お越しいただきありがとうございました。またどうぞ、お待ちしております」
「はい。ではお会計をお願いします」
茉莉花がそう言うと、シェフはちらりと優樹を見てから、にこやかに茉莉花に答える。
「既にいただいておりますので、ご心配なく」
え?と茉莉花は首をひねる。
どういうことなのかと考えていると、優樹が出口へと促した。
「行こうか」
「でも、あの。どうしてお会計が……。もしかして部長が?」
支払いは全て部屋付けにして、後日優樹のクレジットカードから引き落とされることになっていた。
それはいいのだが、問題はこのあとどうするかだ。
優樹はしばし考えあぐねてから、思い切って話すことにした。
「実は清水さんと乾さんに使ってもらおうと思って、部屋を取ってあったんだ」
「えっ? このオーベルジュのお部屋を、ですか?」
「そう。花火大会のあとは駅も人で溢れ返るし、電車も混雑する。少し部屋で休憩したり、そのまま宿泊してもらってもいいようにね」
「そんな、わざわざその為に? このオーベルジュはスイートルームしかないのに」
「構わない。だけど乾さんがいないのでは、君一人になってしまうから、どうしたものかと思っていて……」
「でしたら、どうぞ部長がお一人で。私は電車で帰ります」
そう言うと、スタスタと出口に向かおうとする茉莉花を、優樹は慌てて止めた。
「それだと本末転倒だ。とにかく部屋で話し合おう。どんな部屋か見てみたいって、前に君も言ってただろう?」
「それは、はい。では少しお邪魔しますね」
「ああ。部屋は2階だ、行こう」
エレベーターに乗り、二人で部屋へと向かった。
「こちらこそ、お越しいただきありがとうございました。またどうぞ、お待ちしております」
「はい。ではお会計をお願いします」
茉莉花がそう言うと、シェフはちらりと優樹を見てから、にこやかに茉莉花に答える。
「既にいただいておりますので、ご心配なく」
え?と茉莉花は首をひねる。
どういうことなのかと考えていると、優樹が出口へと促した。
「行こうか」
「でも、あの。どうしてお会計が……。もしかして部長が?」
支払いは全て部屋付けにして、後日優樹のクレジットカードから引き落とされることになっていた。
それはいいのだが、問題はこのあとどうするかだ。
優樹はしばし考えあぐねてから、思い切って話すことにした。
「実は清水さんと乾さんに使ってもらおうと思って、部屋を取ってあったんだ」
「えっ? このオーベルジュのお部屋を、ですか?」
「そう。花火大会のあとは駅も人で溢れ返るし、電車も混雑する。少し部屋で休憩したり、そのまま宿泊してもらってもいいようにね」
「そんな、わざわざその為に? このオーベルジュはスイートルームしかないのに」
「構わない。だけど乾さんがいないのでは、君一人になってしまうから、どうしたものかと思っていて……」
「でしたら、どうぞ部長がお一人で。私は電車で帰ります」
そう言うと、スタスタと出口に向かおうとする茉莉花を、優樹は慌てて止めた。
「それだと本末転倒だ。とにかく部屋で話し合おう。どんな部屋か見てみたいって、前に君も言ってただろう?」
「それは、はい。では少しお邪魔しますね」
「ああ。部屋は2階だ、行こう」
エレベーターに乗り、二人で部屋へと向かった。



