「では5時から4名、6時から4名の合計8名様分ですね」

オーナーとテレビ電話でやり取りしながら、優樹がカタカタとパソコンを操作する。

「ひとまず作ってみました。時間帯を選んで予約。確認のメールも自動送信されます。枠が埋まれば表示は満席に変わり、予約が出来なくなるシステムになっています。浴衣は持参していただくこと、カフェで食事をしていただくことを了承するチェックボックスも作ってあります。これで問題なければホームページのトップに載せますので、ご確認いただけますか?」
『分かりました。ありがとう、白瀬さん』
「いいえ。当日も万が一の事態に備えて、私も5時からそちらに待機しますね」
『本当に? 心強いわ、ありがとうございます』

あっという間に作業が完了し、茉莉花は感心しきりだった。

「すごいですね、部長」
「いや、実は結構簡単なんだ。それより当日は、清水さんも一緒にカフェに行ってくれるかな。そのまま花火大会へ行けるように、直帰にするから」
「はい、承知しました」

オーナーに伝えると「それなら清水さんも着付けてあげる」と言われて、茉莉花は沙和と浴衣を持って行くことにした。

(楽しみだなあ、浴衣で花火大会。それも観覧席で! そのあとはオーベルジュで美味しいディナーも食べるし。あー、待ち切れない)

失恋の寂しさも忘れて、茉莉花はわくわくと金曜日を待ちわびていた。