「あの、えっと。会費はこちらにまとめてあります。ゲストは、あと3名で揃います」

茉莉花は取り繕うように、隣に座った優樹に説明した。

「ありがとう」

優樹もそれ切り口をつぐむ。

気まずい雰囲気に、茉莉花がどうしたものかと考えを巡らせていた時だった。
ふいに「悪かった」と優樹が呟く。
え?と茉莉花は顔を上げた。

「もしかして、来たくなかったんじゃないか? それなのに、俺が受付を頼んでしまったから……」
「いえ、まさかそんな」

そう言ってから、そんなふうに思わせてしまったのかと、茉莉花は焦り出す。

「あの、部長。本当にそんなことありませんから。私、小澤課長にも華恵さんにも、いつもよくしていただいてます」
「でも……」
「だから今夜は、心からお二人をお祝いしたいと思って来ました」

その時、店内にウェディングソングが流れ、わあ!っと歓声が上がる。

「華恵、綺麗!」
「おめでとう!」

どうやら新郎新婦が現れたらしい。
一気に華やいだ雰囲気になったのが、離れたところにいても伝わってくる。

「部長。やっぱり私もお二人を見に行っていいですか?」
「それは、いいけど」
「では少しだけ、受付お願いします」

茉莉花は立ち上がると、タタッとその場を離れた。