ようやく受付の列が落ち着いた頃、優樹が様子を見に来た。

「お疲れ様。問題ないか?」
「はい! 仰せのままに」
「ありがとう。あとで食事を持って来るから」
「かたじけのうございます」

沙和ちゃん、と茉莉花は必死で沙和の袖を引っ張る。
沙和と優樹のやり取りに、笑いを堪えるのも限界だった。

ぷるぷると頬を震わせていると、優樹は茉莉花に視線を移す。

「清水さん、交代するから店内にどうぞ。もうすぐ新郎新婦の入場なんだ」

え、と茉莉花は真顔に戻る。
頭の中に、腕を組んで幸せそうに微笑み合う二人の姿がパッと浮かんだ。
いやだ、と一瞬考えてしまう。

必死に気持ちを落ち着かせようとしていると、沙和が立ち上がった。

「部長、私が先に行っても構いませんか?」
「え、ああ、どうぞ」
「ではここをお願いいたします。茉莉花、行ってくるね」

うん、と頷くと、沙和は大丈夫だとばかりに茉莉花に大きく頷いてから、店内に向かった。