「まーりかー、やっほ!」
「沙和ちゃん!」
しばらくすると、黒のロングドレス姿の沙和が現れた。
髪も夜会巻きに結って、大人っぽい。
「お待たせ。可愛いね、茉莉花のそのワンピース」
「沙和ちゃんこそ、すっごく綺麗でゴージャス」
「へへ、気合い入れちゃった。だって課長たちが美男美女でしょ? きっとお友達も……。グフフ」
意味ありげに笑う沙和に、茉莉花は首をかしげる。
「どういう意味?」
「やだ、決まってるじゃない。新しい出会いに期待してるの。私もさ、前の彼と別れてかれこれ半年よ? このチャンスに賭けてるの」
「あー、なるほど」
「茉莉花もよ? いい人見つけて、いい恋愛しなきゃ。ね?」
「うん。でもその前に、忘れなきゃいけないから……」
小さく呟くと、沙和はトンと茉莉花の肩に手を置く。
「主役の二人じゃなく、ゲストを見てなって。大丈夫! 今夜の茉莉花、可愛いもん。きっといい出会いがあるよ」
「そうだね。私、今日はちゃんと気持ちを切り替えようと思って来たんだ。もう今までの自分からは卒業する」
「よし、その意気だ! じゃんじゃん飲んで、どんどん盛り上がろう!」
「沙和ちゃん、受付出来なくなっちゃう」
「あはは! 確かに」
笑い合っていると、優樹が沙和の飲み物を持って近づいて来た。
「乾さん、お疲れ様。悪いね、今日はよろしく」
「部長!いつにも増して、今夜はめちゃくちゃかっこいいですね」
「は? なにが?」
ネクタイだけは違うが、普段と大して変わらないスーツ姿の優樹は、沙和の言葉に眉根を寄せる。
「なんかこう、醸し出す雰囲気が。おしゃれなお店でシャンパン片手に、なんか大人の男って感じです」
「……ありがとう、と言いたいところだけど、これはシャンパンじゃなくてジンジャーエールだ」
茉莉花は思わずクスッと笑う。
「ええー、シャンパンってことにしておいてくださいよ。その方がお似合いですから」
「でも乾さんに持って来たんだ。飲めばバレる。はい、どうぞ」
「ありがとうございます。シャンパンだと思って飲みます」
グラスを受け取った沙和は、ひと口飲んで明るい声を上げた。
「美味しいー! 部長、このシャンパン最高ですね」
「……それは、よかった」
困ったような優樹の様子に、茉莉花は笑いを堪えてうつむく。
じゃあ、よろしくと優樹が去ったあとも、しばらく笑いが止まらなかった。
「ん? 茉莉花、どうかしたの?」
「ごめん。だって、どうにもおかしくて」
「なにが?」
「部長と沙和ちゃん。マイペースな沙和ちゃんに振り回されて、真面目な部長が戸惑ってるんだもん」
「あら、それは悪かったわ。白瀬部長って、なかなかレアなタイプよね。背も高いしかっこいいのに、なんか浮世離れした感じなんだもん。前世は絶対に武士よ。生まれ変わって現代に生きる侍。人呼んで『令和ざむらい』」
サムライー?と、茉莉花はますますお腹を抱えて笑う。
「やだ、沙和ちゃん。もう刀持って着物着た部長しか思い浮かばなくなっちゃった」
「でしょ? 次に現れたら、『そなたたち、大儀であった』とか言うわよ、きっと」
「あはは! もうやめて。ほんとに笑っちゃうから」
その時、最初のゲストがやって来て、茉莉花と沙和は居住まいを正す。
しばらくは途切れることのないゲストの対応に追われた。
「沙和ちゃん!」
しばらくすると、黒のロングドレス姿の沙和が現れた。
髪も夜会巻きに結って、大人っぽい。
「お待たせ。可愛いね、茉莉花のそのワンピース」
「沙和ちゃんこそ、すっごく綺麗でゴージャス」
「へへ、気合い入れちゃった。だって課長たちが美男美女でしょ? きっとお友達も……。グフフ」
意味ありげに笑う沙和に、茉莉花は首をかしげる。
「どういう意味?」
「やだ、決まってるじゃない。新しい出会いに期待してるの。私もさ、前の彼と別れてかれこれ半年よ? このチャンスに賭けてるの」
「あー、なるほど」
「茉莉花もよ? いい人見つけて、いい恋愛しなきゃ。ね?」
「うん。でもその前に、忘れなきゃいけないから……」
小さく呟くと、沙和はトンと茉莉花の肩に手を置く。
「主役の二人じゃなく、ゲストを見てなって。大丈夫! 今夜の茉莉花、可愛いもん。きっといい出会いがあるよ」
「そうだね。私、今日はちゃんと気持ちを切り替えようと思って来たんだ。もう今までの自分からは卒業する」
「よし、その意気だ! じゃんじゃん飲んで、どんどん盛り上がろう!」
「沙和ちゃん、受付出来なくなっちゃう」
「あはは! 確かに」
笑い合っていると、優樹が沙和の飲み物を持って近づいて来た。
「乾さん、お疲れ様。悪いね、今日はよろしく」
「部長!いつにも増して、今夜はめちゃくちゃかっこいいですね」
「は? なにが?」
ネクタイだけは違うが、普段と大して変わらないスーツ姿の優樹は、沙和の言葉に眉根を寄せる。
「なんかこう、醸し出す雰囲気が。おしゃれなお店でシャンパン片手に、なんか大人の男って感じです」
「……ありがとう、と言いたいところだけど、これはシャンパンじゃなくてジンジャーエールだ」
茉莉花は思わずクスッと笑う。
「ええー、シャンパンってことにしておいてくださいよ。その方がお似合いですから」
「でも乾さんに持って来たんだ。飲めばバレる。はい、どうぞ」
「ありがとうございます。シャンパンだと思って飲みます」
グラスを受け取った沙和は、ひと口飲んで明るい声を上げた。
「美味しいー! 部長、このシャンパン最高ですね」
「……それは、よかった」
困ったような優樹の様子に、茉莉花は笑いを堪えてうつむく。
じゃあ、よろしくと優樹が去ったあとも、しばらく笑いが止まらなかった。
「ん? 茉莉花、どうかしたの?」
「ごめん。だって、どうにもおかしくて」
「なにが?」
「部長と沙和ちゃん。マイペースな沙和ちゃんに振り回されて、真面目な部長が戸惑ってるんだもん」
「あら、それは悪かったわ。白瀬部長って、なかなかレアなタイプよね。背も高いしかっこいいのに、なんか浮世離れした感じなんだもん。前世は絶対に武士よ。生まれ変わって現代に生きる侍。人呼んで『令和ざむらい』」
サムライー?と、茉莉花はますますお腹を抱えて笑う。
「やだ、沙和ちゃん。もう刀持って着物着た部長しか思い浮かばなくなっちゃった」
「でしょ? 次に現れたら、『そなたたち、大儀であった』とか言うわよ、きっと」
「あはは! もうやめて。ほんとに笑っちゃうから」
その時、最初のゲストがやって来て、茉莉花と沙和は居住まいを正す。
しばらくは途切れることのないゲストの対応に追われた。



