「鎌倉のカフェ、次に現地に行くのは来週の金曜日だったな。時間は?」
「前回と同じ15時からです」
「分かった」

茉莉花は会議室で、いつものように優樹と打ち合わせをしていた。
作成中の資料をチェックしてもらい、スケジュールを確認する。

「私の担当のアプリ開発の件も、対面での打ち合わせをすることになった。清水さんも同行してくれるか? 先方に改めて紹介したい」
「はい、もちろんです」
「明日の10時でアポを取ったが、ここからは電車で15分ほどで着く。出社して準備してから向かおう」
「分かりました。よろしくお願いします」

すると優樹は、ふと思いついたように顔を上げた。

「鎌倉のカフェ、次回は車で行こうか」
「えっ! よろしいのでしょうか?」
「ああ。利便性の良くない地域へは、車で行くことは会社に認められている。次回、カフェへの車でのアクセスの仕方も確認しておきたい。カフェから観光地への行き方とか、所要時間も」
「はい、分かりました」
「社用車も使えるけど、私の車で行こう。直帰にして、君の自宅まで送り届けるから」
「いえ、そんな。お気遣いなく」

茉莉花は断るが、優樹は気にする素振りもなく資料をまとめ始めた。

「まずは明日の打ち合わせ、よろしく頼む」
「はい、こちらこそ。これから資料を確認しておきます」
「ああ、助かる」

打ち合わせを終えてオフィスに戻ると、茉莉花は早速2つの案件の資料を念入りにチェックしていった。