「まずはスケジュールの確認からさせてくれ。２つの案件を同時進行で進めていくことになる。打ち合わせの日程や納期は無理のないように」
「はい」

会議室で二人、パソコンを見ながら相談する。
茉莉花が受け持つ新規の案件は、カフェの女性オーナーからの経営相談。
優樹は以前からのクライアントに直々に指名され、女性向けのSNSアプリの立ち上げに携わることになっていた。

「カフェのオーナーからは、夏休みの繁忙期を前に店内の模様替えとメニューの見直しを済ませたいと言われています。そこから逆算してスケジュールを組みました」
「なるほど。あまり余裕はないな。私のクライアントは、主にオンラインでのミーティングをご希望だから、割りと融通は利く。カフェの方は何度も現地に足を運ぶ必要があるだろう。場所は鎌倉だったか？」
「そうです。駅からも徒歩15分ほど歩くので、ここからですと電車で片道１時間半ほどかかります」
「そうか、なるべく私も同行する。次回はいつ？」
「6月8日の15時に伺う予定です」
「来週だな。分かった、一緒に行こう」
「はい。よろしくお願いします」

初めてメインで担当する案件。
成功も失敗も、全ては自分次第だ。

（ミスをすれば、バディの部長にもご迷惑になる）

茉莉花は資料を作成しながら気を引き締めた。

（えっと、カフェの現状から問題点を洗い出して、原因を分析する。それを分かりやすくグラフや図にまとめて改善策を提示。ここまでをひと通り準備しておこう）

研修の内容を思い出しながら、優樹に相談しつつ、茉莉花は抜かりなく準備を進めていった。