「茉莉花、メリークリスマ……ええー!?」

出社してくるなり、沙和は茉莉花の左手を見て大きく仰け反る。

「茉莉花、そ、そ、それって……」
「おはよう、沙和ちゃん。えっと、これは……」

婚約指輪ね?と、沙和がズイッと顔を寄せてきた。

「うん……、そうです」
「ひゃー、素敵! クリスマスイブにプロポーズ? もう最高!」

おめでとう、茉莉花!と、沙和は自分のことのように喜び、抱きついてくる。

「ありがとう、沙和ちゃん」
「よかったねえ、ほんとによかった。幸せになるんだよ?」
「うん!」

茉莉花は満面の笑みで頷いた。

年が明けると、互いの実家に結婚の挨拶に行く。
双方の両親とも、喜んで二人を祝福してくれた。

結婚式について相談しながら、夢を膨らませる。
幸せの絶頂とはまさにこのこと。
だがそんな二人を、大きな試練が待ち受けていた。