「茉莉花、クリスマスはどうするの? デート?」

ある日、沙和に聞かれて茉莉花は頷く。

「うん。沙和ちゃんもでしょ?」
「そうだけど、今年はイブもクリスマスも平日で残念だよね。お互いつき合って初めてのクリスマスなのに。でも楽しんじゃうけど」
「ふふっ、そうだよね」
「茉莉花はもうプレゼント選んだの?」
「これからなの。いくつか考えてはいるんだけどね。あと、着て行く服も買いたいんだ」
「えー、気合い入ってるね。じゃあさ、一緒に買い物行かない?」
「いいね、行く行く」

早速その日の仕事終わりに、二人でデパート巡りをすることになった。

「クリスマスだから、赤をアクセントにしてみたら? これとか」

沙和のアドバイスで、茉莉花は白のニットと落ち着いた色合いの赤いフレアスカートを選んだ。
ニットは袖がふっくらしていて、胸元に細かく雪の結晶の刺繍がちりばめられている。

「茉莉花って、白が似合うよね。純真無垢って感じで。私は薄汚れちまっててダメだわ」
「なに言ってるのよ。沙和ちゃんはいつも私のことを気遣ってくれる、心が綺麗な私の親友よ」
「えー、そんなこと言ってくれるなんて嬉しい! 茉莉花、お互い彼氏はいるけど、時々私ともデートしてね」
「もちろん!」

二人で顔を寄せ合って笑う。
クリスマスのイルミネーションで飾られた街並みを、沙和と写真を撮りながら歩くのも楽しかった。

そしてやって来たクリスマスイブ。
茉莉花は他の社員と同じように、定時になると帰り支度をする。
ロビーで優樹と落ち合い、近くに停めてあった車で鎌倉へと向かった。