「華恵さんの妊娠、おめでたいよね」

沙和と茉莉花は、ランチタイムに改めて話題にする。
今朝の朝礼で、照れたように報告していた華恵は、とても幸せそうだった。
「つわりが酷く、仕事を休むこともあってご迷惑をおかけします」と頭を下げていたが、皆は「そんなの気にしないでください」と温かく気遣い、課長と華恵に祝福の拍手を送った。

「あー、私も早く結婚して赤ちゃんほしくなっちゃった。身近な人が妊娠すると、急に自分も! って気になるよね」

沙和の言葉に、茉莉花は思わず箸を持つ手を止める。

「沙和ちゃん。彼との交際、順調なんだね」
「そうだけど、茉莉花もでしょ?」
「うん、それはそうなんだけど……」

トーンダウンする茉莉花に、沙和も真剣に尋ねた。

「茉莉花、何かあったの?」
「あの、ちょっと悩んでて……。ここでは話せないんだけど」
「そっか。じゃあ、今夜飲みに行く? 茉莉花の話、なんでも聞くからさ」
「うん、お願いします」

定時になると、二人は久しぶりに連れ立ってオフィスを出た。