ようやく気持ちが落ち着くと、交代でシャワーを浴びる。
バスローブを着て寝室に入ってきた茉莉花を、優樹はベッドに腰掛けて優しく呼んだ。
「茉莉花、こっちへ」
おずおずと近づいてきた茉莉花は、緊張で身体をこわばらせている。
「あの、優くん……」
「どうした?」
優樹は茉莉花の両手を握り、うつむいて立ったままの茉莉花の顔を覗き込んだ。
「あのね、私。実は、初めてで……」
ドクンと優樹の心臓が跳ねる。
「大学生の時につき合ってた人と、そういうことになった時、どうしても怖くて、やめてって言ってしまって……。そのあとフラれたの。だから、その……」
茉莉花はそこまで言うと身を縮こめた。
「また怖くなって拒んでしまったらどうしようって、不安で……。優くんに、嫌われたくないの」
そっとうかがうように視線を上げた茉莉花の目は、今にも涙がこぼれ落ちそうだった。
優樹は優しく茉莉花の手を引くと、隣に座らせる。
「話してくれてありがとう」
髪をなでてから、そっと頭を抱き寄せた。
「茉莉花、俺はどんなことがあっても茉莉花を嫌いにはならない。そんなことくらいで茉莉花を嫌いになんか、到底なれない。茉莉花の怖がるようなことは決してしないから、安心して。茉莉花が不安なら、俺は何もしない」
「でも……」
茉莉花は戸惑ったように顔を上げる。
「ずっといつまでもって訳にはいかないでしょう? 私、優くんとは、これから先も一緒にいたいの。だから、拒まないようにがんばるから……」
そう言うと優樹のバスローブの胸元をキュッと掴み、すがるように見つめてきた。
「大丈夫だから、私。優くんに抱きしめてもらいたいの。がんばるから、だから……」
優樹は「茉莉花」と優しく名を呼ぶ。
「茉莉花が抱きしめてほしいなら、俺はいつだって抱きしめる。だけどそれ以上はしない。茉莉花、がんばらなくていいんだ。無理する必要なんてない。俺はこの先もずっとずっと茉莉花と一緒にいる。その為にも、茉莉花には無理してほしくない」
分かった?と顔を覗き込むと、茉莉花はふるふると首を横に振る。
「茉莉花?」
「だってそうしたら、優くんに無理をさせてしまうから。男の人ってそうなんでしょう?」
「おいおい、茉莉花。男はみんなオオカミだと思ってる?」
「違うの?」
「う、うん、まあ。完全に否定は出来ないけど。でも俺は、茉莉花を抱きしめるだけで充分幸せだよ」
「本当に?」
「ああ。茉莉花は違うのか?」
すると茉莉花は、にっこりと可愛らしい笑みを浮かべた。
「私も。優くんに抱きしめられたら、夢の世界にいるみたいに幸せなの」
「ふっ、俺もだ。じゃあ茉莉花、幸せな夢の中へご招待するよ。おいで」
ベッドに入ると、優樹は茉莉花を抱き寄せて横になる。
「電気消すよ」
「うん。あったかい……」
「湯たんぽ代わりにもなるぞ」
「ふふっ、優くんって時々すごく面白い」
「それは、褒められてるのか?」
「分かんない」
「おい、こら」
「ふふふっ、やっぱり面白い」
ヤレヤレと優樹は苦笑いを浮かべた。
「私は優しい優くんのことが大好きです。昨日までより、もっともっと好きになりました」
「俺もだよ。茉莉花のことが愛おしくてたまらない」
「ありがとう、優くん」
安心したように、すうっと眠りに落ちた茉莉花を、優樹はただひたすら胸に抱きしめて、優しく髪をなでていた。
バスローブを着て寝室に入ってきた茉莉花を、優樹はベッドに腰掛けて優しく呼んだ。
「茉莉花、こっちへ」
おずおずと近づいてきた茉莉花は、緊張で身体をこわばらせている。
「あの、優くん……」
「どうした?」
優樹は茉莉花の両手を握り、うつむいて立ったままの茉莉花の顔を覗き込んだ。
「あのね、私。実は、初めてで……」
ドクンと優樹の心臓が跳ねる。
「大学生の時につき合ってた人と、そういうことになった時、どうしても怖くて、やめてって言ってしまって……。そのあとフラれたの。だから、その……」
茉莉花はそこまで言うと身を縮こめた。
「また怖くなって拒んでしまったらどうしようって、不安で……。優くんに、嫌われたくないの」
そっとうかがうように視線を上げた茉莉花の目は、今にも涙がこぼれ落ちそうだった。
優樹は優しく茉莉花の手を引くと、隣に座らせる。
「話してくれてありがとう」
髪をなでてから、そっと頭を抱き寄せた。
「茉莉花、俺はどんなことがあっても茉莉花を嫌いにはならない。そんなことくらいで茉莉花を嫌いになんか、到底なれない。茉莉花の怖がるようなことは決してしないから、安心して。茉莉花が不安なら、俺は何もしない」
「でも……」
茉莉花は戸惑ったように顔を上げる。
「ずっといつまでもって訳にはいかないでしょう? 私、優くんとは、これから先も一緒にいたいの。だから、拒まないようにがんばるから……」
そう言うと優樹のバスローブの胸元をキュッと掴み、すがるように見つめてきた。
「大丈夫だから、私。優くんに抱きしめてもらいたいの。がんばるから、だから……」
優樹は「茉莉花」と優しく名を呼ぶ。
「茉莉花が抱きしめてほしいなら、俺はいつだって抱きしめる。だけどそれ以上はしない。茉莉花、がんばらなくていいんだ。無理する必要なんてない。俺はこの先もずっとずっと茉莉花と一緒にいる。その為にも、茉莉花には無理してほしくない」
分かった?と顔を覗き込むと、茉莉花はふるふると首を横に振る。
「茉莉花?」
「だってそうしたら、優くんに無理をさせてしまうから。男の人ってそうなんでしょう?」
「おいおい、茉莉花。男はみんなオオカミだと思ってる?」
「違うの?」
「う、うん、まあ。完全に否定は出来ないけど。でも俺は、茉莉花を抱きしめるだけで充分幸せだよ」
「本当に?」
「ああ。茉莉花は違うのか?」
すると茉莉花は、にっこりと可愛らしい笑みを浮かべた。
「私も。優くんに抱きしめられたら、夢の世界にいるみたいに幸せなの」
「ふっ、俺もだ。じゃあ茉莉花、幸せな夢の中へご招待するよ。おいで」
ベッドに入ると、優樹は茉莉花を抱き寄せて横になる。
「電気消すよ」
「うん。あったかい……」
「湯たんぽ代わりにもなるぞ」
「ふふっ、優くんって時々すごく面白い」
「それは、褒められてるのか?」
「分かんない」
「おい、こら」
「ふふふっ、やっぱり面白い」
ヤレヤレと優樹は苦笑いを浮かべた。
「私は優しい優くんのことが大好きです。昨日までより、もっともっと好きになりました」
「俺もだよ。茉莉花のことが愛おしくてたまらない」
「ありがとう、優くん」
安心したように、すうっと眠りに落ちた茉莉花を、優樹はただひたすら胸に抱きしめて、優しく髪をなでていた。



