☺︎︎10000PV 突破感謝記念 番外編☺︎︎
新緑が萌える、よく晴れた朝。風はさわやかに薫って、1年のなかでいちばん気持ちの良い季節かもしれない。
5月のとある日。
僕はこの学校にカウンセラーとして赴任した。
「村越先生、ようこそいらっしゃいました。本日からよろしくお願いします」
「こちらこそよろしくお願いいたします」
玄関へ入り事務室に声をかけると、来客用の部屋へ案内されて、教頭先生が僕を快く迎え入れてくれた。
この高校にはもう既に別の曜日に他のカウンセラーが常駐している。
だから僕の仕事は何人かの発達または心理的に問題を抱えている対象生徒の心理検査とその後のケア(関連施設へ繋ぐこと)であることの再度の確認と、他にケアが必要な生徒がいればその都度連携をとりながら見てほしいこと、それらが終われば何時でもやめられる短期の仕事だった。
「これが一応全校生徒の名簿とそのうち対象生徒の情報です」
「了解です。今日中には一通り確認します。来週からは早速心理検査を始めて行けるかと思いますが、まずは対象の生徒たちには直接会ってコミュニケーションと行動観察をさせていただきたいです」
適当に会話を続けながら、資料をパラパラとめくる。
そして、一瞬手が止まる。
名簿の1-A、21番に高遠彩葉の名前を見つけた。
やっぱりな、とここに来た意味があったことに内心ほっとする。
教頭先生は落ち着かない様子で、頭をかきながら、額の汗を拭いた。そういう性格なのであろう。
「まぁそれで、知能検査となると、時間がかかりますよね」
「そうですね。結果の解釈も含めて、必要な支援にまで繋げるとなるとある程度まとまった期間がかかるかと」
「ということはしばらく先生がここにいらっしゃることを、生徒の前でご挨拶されても……今日は他にも何人か赴任された先生がいるんですよ一緒にどうですか」
「いや、結構ですよ。僕は長くは関われないのでそういうのは常駐の先生にお願いします」
「じゃあせめて生徒の代表にあたる、生徒会の生徒にだけでもご挨拶なさってください。学校のご案内も兼ねて」
「はぁ」
これまで短期の仕事ばかり請け負って来たが、僕の専門は医療領域だったので、学校というのは勝手が分からない。
関係がなくとも馴れ合いというか、挨拶回りが当たり前なのだろうか?
ちょっと面倒だなと感じつつも、立ち上がる。
新緑が萌える、よく晴れた朝。風はさわやかに薫って、1年のなかでいちばん気持ちの良い季節かもしれない。
5月のとある日。
僕はこの学校にカウンセラーとして赴任した。
「村越先生、ようこそいらっしゃいました。本日からよろしくお願いします」
「こちらこそよろしくお願いいたします」
玄関へ入り事務室に声をかけると、来客用の部屋へ案内されて、教頭先生が僕を快く迎え入れてくれた。
この高校にはもう既に別の曜日に他のカウンセラーが常駐している。
だから僕の仕事は何人かの発達または心理的に問題を抱えている対象生徒の心理検査とその後のケア(関連施設へ繋ぐこと)であることの再度の確認と、他にケアが必要な生徒がいればその都度連携をとりながら見てほしいこと、それらが終われば何時でもやめられる短期の仕事だった。
「これが一応全校生徒の名簿とそのうち対象生徒の情報です」
「了解です。今日中には一通り確認します。来週からは早速心理検査を始めて行けるかと思いますが、まずは対象の生徒たちには直接会ってコミュニケーションと行動観察をさせていただきたいです」
適当に会話を続けながら、資料をパラパラとめくる。
そして、一瞬手が止まる。
名簿の1-A、21番に高遠彩葉の名前を見つけた。
やっぱりな、とここに来た意味があったことに内心ほっとする。
教頭先生は落ち着かない様子で、頭をかきながら、額の汗を拭いた。そういう性格なのであろう。
「まぁそれで、知能検査となると、時間がかかりますよね」
「そうですね。結果の解釈も含めて、必要な支援にまで繋げるとなるとある程度まとまった期間がかかるかと」
「ということはしばらく先生がここにいらっしゃることを、生徒の前でご挨拶されても……今日は他にも何人か赴任された先生がいるんですよ一緒にどうですか」
「いや、結構ですよ。僕は長くは関われないのでそういうのは常駐の先生にお願いします」
「じゃあせめて生徒の代表にあたる、生徒会の生徒にだけでもご挨拶なさってください。学校のご案内も兼ねて」
「はぁ」
これまで短期の仕事ばかり請け負って来たが、僕の専門は医療領域だったので、学校というのは勝手が分からない。
関係がなくとも馴れ合いというか、挨拶回りが当たり前なのだろうか?
ちょっと面倒だなと感じつつも、立ち上がる。



