イジワル幼なじみが「友達だからいいでしょ?」っていいながら、めちゃくちゃ溺愛してくるんですけど!?

 それから、その日はまったく授業に集中できなくて。
 漢字の小テストもさんざんな結果だった。
 今日の運勢、いまいちだったのかな。
「百里ー」
 後ろから、今一番会いたくないやつの声がする。
 もう今日は無視だ、無視。今日はこいつに関わっちゃダメな気がする。
 でも、心のすみっこでは式見と話したいって思ってるんだ。
 なんなの、もう。
「今日の小テスト、どうだった?」
 ほーら。やっぱりろくなことを聞いてこないヒネクレ者。
 どうせ、私の結果を聞いてまた、からかうつもりなんでしょ。
「十点満点中の? 何点?」
「五点」
「うわ、やば」
「うるさい」
 やっぱり答えなきゃよかった。
 こうなるってわかってたじゃん。
 というか、私のテストの点数が悪かったのはあんたのせいなんだからね!
 なんて、もちろん言えるわけないけど……。
 私は心の中で、大きなため息をついた。
「五点って明日、再試あるじゃん」
「そうだよ。だから、早く帰って勉強しないと」
 だからもう、話しかけないでよ。
「じゃあ、俺んち来れば?」
「なんでそうなるの」
「昔はよく来てたじゃん。俺んちで再テストの勉強と、ついでに宿題もやっていきなよ」
「いや、それは」
「今から俺の家に来るか、テストの点数を柳原にチクられるか、どっちがいい? 五秒で選んで」
「は~~~~~っ?」
 やっぱり式見木蓮は人間じゃない。
 日ごろからこんなことばっかり言ってる、サイテーの星から生まれたサイテーなやつなんだよ!
「五秒だよ。カウントダウン開始」
「ええっ……」
 なんなの。なんでこんなにしつこいの、こいつ。
 もう知らん。こっちだって、やってやる。
「あのさ!」
「なに」
「なんでそこまでしてして私を家に呼びたいわけ? あんたまさか、私のこと好きなんじゃないよね」
「……っえ」
 とたん、式見の顔が真っ赤になっていく。
 なにこれ。
 まさか、照れてる?
 式見のこんな表情、見たことない。
 ちょっと、面白いかも。
 まあ、急に〝自分のこと好きなの〟って聞かれれば誰だって照れるよね。
「あはは。うそうそ。冗談」
「っは?」
「いつもの仕返しじゃん。式見でも焦ったりするんだね」
「……ふーん」
 一気に興味をなくした表情になる式見。
 なんだ、いつもの式見木蓮だった。
 でも、ああいう顔もするんだって知れたのは、発見だったよ。
「それで? もうすでに五秒経ってるんだけど。どっちにするの? 柳原へのライントーク画面はすでに開いてるからね」
「あんたんち行くって。これでいいんでしょ」
 今のですっきりしたしね。
 私、そうとう式見に友達として気に入られてんのかな。
 これで、からかうのを止めてくれたら、最高の友達だって思えるのに。
 まあ、変わらず私は式見のことを好きみたいだけど。
 式見の家か。
 久しぶりだなあ。