イジワル幼なじみが「友達だからいいでしょ?」っていいながら、めちゃくちゃ溺愛してくるんですけど!?

「おはよう。花井」
「おはよう……」
 次の日、昇降口の下駄箱でさっそく式見とはち合わせた。
 そうか。みんなの前では名字で呼ぶんだっけ。
 友達になったから、って式見に言われた。
 なんだか、名前で呼ばれるほうが普通になってきちゃってた。
 私、本当に式見のこと好きになっちゃったのかな。
「花井。なんだか、変な顔してるよ」
「へ、変な顔で悪かったな」
「いや、可愛いよ。変な顔も」
「はあっ?」
 私は一気に顔を真っ赤にして、思わずあたりをきょろきょろ見渡す。
 幸い、誰にも聞かれてなかったみたいだけど。
「ねえ。恋人ごっこは終わったんだから、変なこと言わないでよ」
「俺は変なことだと思ってないし」
「変でしょ。友達にそんな可愛いとか言うの」
「じゃあ、どういう関係なら可愛いって言っても許されるの?」
 それは。
 そんなの。
 ひとつしかないじゃん。
「こ、恋人同士とか、ならいいんじゃない」
「ふうん。そうなんだあ」
 そう言って、式見は私を追い越し、スタスタと歩いて行ってしまう。
 私は下駄箱の前で、ただはいている上履きのつま先を見つめていた。
 別に見たいわけじゃない。
 顔があまりにも真っ赤だから、あげられないだけ。
 朝から、からかわれた。
 なのに、なぜか前みたいに嫌な気分じゃない。
 前だったら、ただウザいって思っただけなのに。
 心のどこかで、式見と話せて嬉しいって思ってることに気づいてしまった。
 こんなの、ぜったいそうじゃん。
 私、式見に恋してしまった。
 ぜったいそうはならないって決めてたのに。
 ああ、もう、私のバカ。