いきおいであんなこと言っちゃったよ。大丈夫か私。
あんなことって言うのは……。
――じゃあ、私と予行練習しようよ。私と式見、お互いに付き合ったていにして、恋とかデートとかもろもろの練習相手になるってこと。
このアイデアが出た時は、めっちゃ名案じゃんって思ったのに。
いざ、やるってなった今、かなり後悔しはじめてる。
これさ、よくよく考えたら私……とんでもないこと言ったんじゃないかな。
そんな一方で、式見は意外にもノリノリだったんだけど。
「百里、腕でも組んじゃう?」
さっそく予行練習のために出かけようってなったけど。
家の前で式見がまた、悪い笑顔を浮かべて言い出したのだ。
そりゃ、予行練習をしようって言いだしたのは私なんだけどさ。
「いや、でも……それはやりすぎなんじゃ」
「俺たち、もう友達じゃなくて恋人なんでしょ」
「それは一時的なことだし。というか、フリなんだし」
「ドラマや映画の俳優はフリだけど、ちゃんと腕も組むし手もつなぐよね」
「っぐ、それはそうだけど、私は俳優じゃ……」
「はい。腕を組むか、手をつなぐか。さっさと選んで」
有無を言わせぬ、矢つぎ早なセリフ回し。
これにいつも、何も言えなくなってしまうんだ。
これが、この式見木蓮のやり口なのに、いつも逆らえない。
言うしかないのかな、ってなってしまうんだ。
「じゃ、じゃあ」
腕を組むなんて、距離が近すぎる。
かと言って、手が触れるのも嫌なんだけど。
だってもう、こんなに心臓が破裂しそうなのに。
でも、手をつないだ方が、こいつとの距離はできるよね。
「て、手をつなぐにするわ……」
「ふうん。手か。なるほどね」
何がなるほどなのっ?
なんて思っているうちに、パッと式見に手を取られて。
あっという間に手をつながれてしまった。
「行こうか」
「ど、どこに」
「どこにだっていいんでしょ。予行練習なんだからさ」
「あ、ああ、そっか。うん」
「期待してるの?」
「何を?」
「俺との、デート」
で、でででででで!
「なななななな何で、そんなデートなんて!」
「デートの予行練習、でしょ。何をそんなに焦ってんの? 百里」
ニヤニヤと笑っている式見に、やられたと思う。
またからかわれた。こいつには振り回されてばっかり。
でも心のどこか、遠い遠いかたすみで、ちょっとだけ「楽しい」だなんて思い始めてて。
私、ばかだなって思ってる。
こんなイジワルで、ヘリクツばっかの式見と、いっしょにいるのが楽しいだなんて、おかしいに決まってるよ。
「ところで聞いておきたいことがあるんだけど」
私の手をぎゅっと握りながら、式見が振り向かずに言う。
「柳原のこと」
「柳原くんがどうかしたの」
「どうかしたのじゃないじゃん。好きなんでしょ、柳原のこと」
「はいっ?」
振り返ってきていきなり、何を言い出すのかと思えば。
なんか式見、ひとりですっごい誤解してないか。
なんで私が〝柳原くんのことを好き〟なんだって勘違いしちゃってるの?
「好きじゃないって。どうしてそんなこと言い出すの」
「だってさ、百里が男子と遊ぶことなんて今までなかったじゃん。女子としか遊んでなかったじゃん。だから、安心してたのに」
「いや、わけわかんない」
それは今まで気の合う男子がいなかっただけ。
友達として話題がはずむ男子と出会ってこなかっただけでしょ。
柳原くんは友達として、ファッションのことやメイクのことを教えてくれた。
これって、友達じゃん。
だから、まあ。遊ぶって約束したことにしちゃったけどさ。嘘なんだけど。
これがいけなかったのか。これが、式見に変な誤解を生んだのかな。
そっか。式見は柳原くんの友達だもんね。
そして現状は私とも〝友達〟みたいなもんで。
そことそこがくっ付いたら、確かに気まずいわ。
式見はそこを心配してたってことね。
「あのさ」
「なに」
式見はふてくされた顔をしてこちらを向く。なんでそんな顔なのよ。
「柳原くんとはくっ付かないから大丈夫だよ」
「そうなの?」
「うん。ただの友達だし」
「いつから、百里はあいつと遊ぶ〝嘘〟を俺に言えるような深い関係になってたわけ?」
深い関係ってなんだ……。
「柳原くんにこのあいだ、ファッションやメイクを教わったから」
「なるほどね。そういうこと」
式見の切れ長の瞳がさらに細められる。
どうみても、なるほどねって感じの雰囲気じゃない。
納得のいってない顔してますけど。
「ずいぶん仲いいんだね」
「仲いいのは式見のほうじゃん」
「そういうことは言ってないんだけど」
じゃあ、どういうことを言ってんの。
本当にめんどうなやつだ。
「式見。さっきから何が言いたいわけ? ハッキリ言ってくんない」
「……俺としてはずいぶんハッキリ伝えてるつもりなんだけど」
「ハッキリしてないって。全然」
式見の言葉のはしばしに、裏があるのなんてお見通しなんだからね。
言いたいことを包み隠して、なんとか相手に伝わってくれないかなあ、という甘え。それは昔からの、式見のクセ。
オブラートを何重にも重ねて、決して相手にズバッと言わない。
小学校の時、クラスメイトの女の子のスカートが下着にはさまっちゃってた時も式見は遠回しに遠回しに伝えずぎて、うまく言えなかったんだよね。
仕方なく近くを通りかかった私が言ってあげたんだっけ。
女の子は私と式見に「ありがとう」って言ってくれたけど、やっぱり恥ずかしそうだった。
イケメンの式見に見られたことや、気を使われ過ぎてたからかな。
いつもは毒舌のくせに、いざという時は自分の思ってることをストレートに伝えられない意気地なし。
それが、式見木蓮なのだ。
見ると式見は、やっぱり複雑そうな顔をしていた。
「今ハッキリ言っても、自爆するだけだしなあ」
なんて、ぶつぶつ言ってる。
「自爆って? ゲームの話?」
「はいはい。百里はゲーム苦手だもんね。シミュレーションゲームとか特に苦手なんじゃない」
いきなりゲームの話になっちゃった。
未だに私たちは、手をつないで歩いている。
いったい、式見はどこに行くつもりなんだろう。
「シミュレーションゲームって何をするんだっけ」
「キャラクターやカードを育てたりするゲーム。他には、農園とかをよく見るかな」
「ゲームはやんないな。私は映画とか本ばっかり」
「今でもあいかわらずなんだ。保育園のころから百里は小説みたいなの読んでたもんね」
「いや、その頃は小説と言っても文字数の少ないやつだけどね」
「それでもすごいじゃん。やっぱり親が本好き、映画好きだとそうなのかな」
駅に着く。切符を買って、電車に乗り込んだ。
その間も、映画や本の話。あと、ゲームの話。
久しぶりの、男子との趣味の会話。
昔は、よく園庭で読んだ本や観た映画の話を式見にしてたっけ。
私が話してる間、式見は「うんうん」て聞いてくれていた。
他の子は、興味がないって行って、他の子のところに行っちゃうのに。
式見だけは、ちゃんと聞いてくれていたんだ。
それが、嬉しかった。どうしようもなく。
式見だけは私の話を聞いてくれるんだって。
まあ、口を開いた式見のウザさも同時に味わうことになるんだけどね。
「降りるよ、百里」
最寄りから三つ離れた、花見駅で降りる。
そこから、歩いて二十分。
「はい。着いた」
「……ここ、どこ?」
「花見座。古い映画館だよ。ここで今、昔の映画を上映してるんだ」
「新しいのじゃなくて、昔の映画なんだ」
今は、サブスクリプションサービスがある時代だから、なかなか映画館で映画を観なくなってるって言われてるらしいのに。
「百里、映画館で映画見るの好きでしょ?」
「うん。お小遣いの範囲だからなかなか見に行けないけど」
大画面で、しかも大音量で見る迫力はやっぱり、映画館ならではなど思うんだよね。
そこで見たから感じる感動って言うのはあると思う。
だから私は映画館で映画を見るのが好きなんだ。
「よく覚えてるね、式見」
「ああ、記憶力はいいから。知ってるでしょ」
当然だ、と言わんばかりの自信だけど実際にそうだからなあ。
チケット売り場で半券を買う。
劇場に入ると、お客さんがけっこう入っていた。昔の映画なのに。
「上映期間が終わった映画をまた劇場で見れるってSNSで話題になってるんだよ」
「なるほど。そういうことかあ」
映画は映画館で見てこそだもんね。
半券に書かれている席に座った。
「百里。映画を見終わったら、どうしたい?」
「えっ。この後?」
「服とかメイクとか、見るんじゃないの」
ああ、柳原くんと出かけるって嘘のことか。
私が服やメイクに興味を持ったって思われたのかな。
「見たいっちゃ見たいけど、本屋のほうがいきたいかな」
「そうだろうね。了解」
わかってた、とでも言いたげな雰囲気だな。
すると、何だか少し不安になってつい聞いてしまった。
「式見は私の服、これでいいって思ってくれてるの?」
「百里はシンプルな方が似合うんじゃない。変に凝ったやつより」
それって、前回の銀杏寺に出かけた時のコーデのこと言ってるんじゃないよね。
いや、あれはあれで我ながら似合ってたと思うんだけど。
「まあ、好みは人それぞれだからね」
「……よし。映画見た後は服屋に行く」
「えっ。本屋に行ってくれるんじゃないの」
「行かない。服屋に行く」
な、何なの。急に。まあ、いつものことだけど。
あんなことって言うのは……。
――じゃあ、私と予行練習しようよ。私と式見、お互いに付き合ったていにして、恋とかデートとかもろもろの練習相手になるってこと。
このアイデアが出た時は、めっちゃ名案じゃんって思ったのに。
いざ、やるってなった今、かなり後悔しはじめてる。
これさ、よくよく考えたら私……とんでもないこと言ったんじゃないかな。
そんな一方で、式見は意外にもノリノリだったんだけど。
「百里、腕でも組んじゃう?」
さっそく予行練習のために出かけようってなったけど。
家の前で式見がまた、悪い笑顔を浮かべて言い出したのだ。
そりゃ、予行練習をしようって言いだしたのは私なんだけどさ。
「いや、でも……それはやりすぎなんじゃ」
「俺たち、もう友達じゃなくて恋人なんでしょ」
「それは一時的なことだし。というか、フリなんだし」
「ドラマや映画の俳優はフリだけど、ちゃんと腕も組むし手もつなぐよね」
「っぐ、それはそうだけど、私は俳優じゃ……」
「はい。腕を組むか、手をつなぐか。さっさと選んで」
有無を言わせぬ、矢つぎ早なセリフ回し。
これにいつも、何も言えなくなってしまうんだ。
これが、この式見木蓮のやり口なのに、いつも逆らえない。
言うしかないのかな、ってなってしまうんだ。
「じゃ、じゃあ」
腕を組むなんて、距離が近すぎる。
かと言って、手が触れるのも嫌なんだけど。
だってもう、こんなに心臓が破裂しそうなのに。
でも、手をつないだ方が、こいつとの距離はできるよね。
「て、手をつなぐにするわ……」
「ふうん。手か。なるほどね」
何がなるほどなのっ?
なんて思っているうちに、パッと式見に手を取られて。
あっという間に手をつながれてしまった。
「行こうか」
「ど、どこに」
「どこにだっていいんでしょ。予行練習なんだからさ」
「あ、ああ、そっか。うん」
「期待してるの?」
「何を?」
「俺との、デート」
で、でででででで!
「なななななな何で、そんなデートなんて!」
「デートの予行練習、でしょ。何をそんなに焦ってんの? 百里」
ニヤニヤと笑っている式見に、やられたと思う。
またからかわれた。こいつには振り回されてばっかり。
でも心のどこか、遠い遠いかたすみで、ちょっとだけ「楽しい」だなんて思い始めてて。
私、ばかだなって思ってる。
こんなイジワルで、ヘリクツばっかの式見と、いっしょにいるのが楽しいだなんて、おかしいに決まってるよ。
「ところで聞いておきたいことがあるんだけど」
私の手をぎゅっと握りながら、式見が振り向かずに言う。
「柳原のこと」
「柳原くんがどうかしたの」
「どうかしたのじゃないじゃん。好きなんでしょ、柳原のこと」
「はいっ?」
振り返ってきていきなり、何を言い出すのかと思えば。
なんか式見、ひとりですっごい誤解してないか。
なんで私が〝柳原くんのことを好き〟なんだって勘違いしちゃってるの?
「好きじゃないって。どうしてそんなこと言い出すの」
「だってさ、百里が男子と遊ぶことなんて今までなかったじゃん。女子としか遊んでなかったじゃん。だから、安心してたのに」
「いや、わけわかんない」
それは今まで気の合う男子がいなかっただけ。
友達として話題がはずむ男子と出会ってこなかっただけでしょ。
柳原くんは友達として、ファッションのことやメイクのことを教えてくれた。
これって、友達じゃん。
だから、まあ。遊ぶって約束したことにしちゃったけどさ。嘘なんだけど。
これがいけなかったのか。これが、式見に変な誤解を生んだのかな。
そっか。式見は柳原くんの友達だもんね。
そして現状は私とも〝友達〟みたいなもんで。
そことそこがくっ付いたら、確かに気まずいわ。
式見はそこを心配してたってことね。
「あのさ」
「なに」
式見はふてくされた顔をしてこちらを向く。なんでそんな顔なのよ。
「柳原くんとはくっ付かないから大丈夫だよ」
「そうなの?」
「うん。ただの友達だし」
「いつから、百里はあいつと遊ぶ〝嘘〟を俺に言えるような深い関係になってたわけ?」
深い関係ってなんだ……。
「柳原くんにこのあいだ、ファッションやメイクを教わったから」
「なるほどね。そういうこと」
式見の切れ長の瞳がさらに細められる。
どうみても、なるほどねって感じの雰囲気じゃない。
納得のいってない顔してますけど。
「ずいぶん仲いいんだね」
「仲いいのは式見のほうじゃん」
「そういうことは言ってないんだけど」
じゃあ、どういうことを言ってんの。
本当にめんどうなやつだ。
「式見。さっきから何が言いたいわけ? ハッキリ言ってくんない」
「……俺としてはずいぶんハッキリ伝えてるつもりなんだけど」
「ハッキリしてないって。全然」
式見の言葉のはしばしに、裏があるのなんてお見通しなんだからね。
言いたいことを包み隠して、なんとか相手に伝わってくれないかなあ、という甘え。それは昔からの、式見のクセ。
オブラートを何重にも重ねて、決して相手にズバッと言わない。
小学校の時、クラスメイトの女の子のスカートが下着にはさまっちゃってた時も式見は遠回しに遠回しに伝えずぎて、うまく言えなかったんだよね。
仕方なく近くを通りかかった私が言ってあげたんだっけ。
女の子は私と式見に「ありがとう」って言ってくれたけど、やっぱり恥ずかしそうだった。
イケメンの式見に見られたことや、気を使われ過ぎてたからかな。
いつもは毒舌のくせに、いざという時は自分の思ってることをストレートに伝えられない意気地なし。
それが、式見木蓮なのだ。
見ると式見は、やっぱり複雑そうな顔をしていた。
「今ハッキリ言っても、自爆するだけだしなあ」
なんて、ぶつぶつ言ってる。
「自爆って? ゲームの話?」
「はいはい。百里はゲーム苦手だもんね。シミュレーションゲームとか特に苦手なんじゃない」
いきなりゲームの話になっちゃった。
未だに私たちは、手をつないで歩いている。
いったい、式見はどこに行くつもりなんだろう。
「シミュレーションゲームって何をするんだっけ」
「キャラクターやカードを育てたりするゲーム。他には、農園とかをよく見るかな」
「ゲームはやんないな。私は映画とか本ばっかり」
「今でもあいかわらずなんだ。保育園のころから百里は小説みたいなの読んでたもんね」
「いや、その頃は小説と言っても文字数の少ないやつだけどね」
「それでもすごいじゃん。やっぱり親が本好き、映画好きだとそうなのかな」
駅に着く。切符を買って、電車に乗り込んだ。
その間も、映画や本の話。あと、ゲームの話。
久しぶりの、男子との趣味の会話。
昔は、よく園庭で読んだ本や観た映画の話を式見にしてたっけ。
私が話してる間、式見は「うんうん」て聞いてくれていた。
他の子は、興味がないって行って、他の子のところに行っちゃうのに。
式見だけは、ちゃんと聞いてくれていたんだ。
それが、嬉しかった。どうしようもなく。
式見だけは私の話を聞いてくれるんだって。
まあ、口を開いた式見のウザさも同時に味わうことになるんだけどね。
「降りるよ、百里」
最寄りから三つ離れた、花見駅で降りる。
そこから、歩いて二十分。
「はい。着いた」
「……ここ、どこ?」
「花見座。古い映画館だよ。ここで今、昔の映画を上映してるんだ」
「新しいのじゃなくて、昔の映画なんだ」
今は、サブスクリプションサービスがある時代だから、なかなか映画館で映画を観なくなってるって言われてるらしいのに。
「百里、映画館で映画見るの好きでしょ?」
「うん。お小遣いの範囲だからなかなか見に行けないけど」
大画面で、しかも大音量で見る迫力はやっぱり、映画館ならではなど思うんだよね。
そこで見たから感じる感動って言うのはあると思う。
だから私は映画館で映画を見るのが好きなんだ。
「よく覚えてるね、式見」
「ああ、記憶力はいいから。知ってるでしょ」
当然だ、と言わんばかりの自信だけど実際にそうだからなあ。
チケット売り場で半券を買う。
劇場に入ると、お客さんがけっこう入っていた。昔の映画なのに。
「上映期間が終わった映画をまた劇場で見れるってSNSで話題になってるんだよ」
「なるほど。そういうことかあ」
映画は映画館で見てこそだもんね。
半券に書かれている席に座った。
「百里。映画を見終わったら、どうしたい?」
「えっ。この後?」
「服とかメイクとか、見るんじゃないの」
ああ、柳原くんと出かけるって嘘のことか。
私が服やメイクに興味を持ったって思われたのかな。
「見たいっちゃ見たいけど、本屋のほうがいきたいかな」
「そうだろうね。了解」
わかってた、とでも言いたげな雰囲気だな。
すると、何だか少し不安になってつい聞いてしまった。
「式見は私の服、これでいいって思ってくれてるの?」
「百里はシンプルな方が似合うんじゃない。変に凝ったやつより」
それって、前回の銀杏寺に出かけた時のコーデのこと言ってるんじゃないよね。
いや、あれはあれで我ながら似合ってたと思うんだけど。
「まあ、好みは人それぞれだからね」
「……よし。映画見た後は服屋に行く」
「えっ。本屋に行ってくれるんじゃないの」
「行かない。服屋に行く」
な、何なの。急に。まあ、いつものことだけど。



