式見木蓮は、人間じゃない。
どういうことかって言うと、あいつはサイテーの星から生まれた、サイテー男子なんだってこと。
なのに、ちょっと顔の作りがいいからって小さい頃から女子にモテモテ。
確かに、髪だってつやつやの黒髪だし、目は二重でぱっちりしてるし、鼻筋もとおってる。肌だって、ニキビひとつない、きれいなクリアスキンだよ。
でも、性格がワルすぎる。みんな、騙されてるんだよ。あの、イジワル男に!
私は式見と、非常に不本意ながら、ずっといっしょだったからわかるんだ。
保育園、小学校、そして中学校。住んでいる家も近いから同じ通学団。毎朝、もう見飽きるくらい顔を合わせていた。
中学生になったので、通学団からは解放されたけどさ。
気の合う友達とだけ一緒に通学できる――と思っていたのに。
新学期早々、同じクラスになってしまった。
つまり、ふと教室を見渡すだけで、あいつの姿が視界に入ってしまうのだ。ああ、サイテー。
見ると、教室の前で式見が先生に何かを頼まれていた。
ということは、次にあいつがする行動はわかってる。
私はまるで動物学者のようにあいつの次の行動を予測することが出来るのだ。スゴいでしょ。
ほおら、やっぱり私の席に向かって歩いてくる。
そして、次に言うコトバももうわかってるのだ。
「花井、先生に雑用頼まれたからお前も着いてきて」
はい、大正解。
式見の思ってることなんて、私にはお見通しなんだから。
「なんで私まで行かなきゃいけないの」
ちょっと背が高くて足が長いからって、見下ろしてこないでくれるかな。
「あれ、花井。前髪、髪切った? 切ったよね、ぜったい」
こ、こいつ!
数センチしか切ってないのに、どうして気付けるのっ?
いつもながらの洞察力だけど、毎回驚いてしまう……。
だけど、認めてなんてあげない。ただ単に、くやしいだけだけなんだけどね。
「切ってない」
「ふうん、そうなんだ。じゃあ、着いてきてね。職員室まで」
なんでそこで〝じゃあ〟になるのよ!
全く持ってわけがわからない。
でも結局いつも、私は式見の思い通りになっちゃってるんだろうな。
どういうことかって言うと、あいつはサイテーの星から生まれた、サイテー男子なんだってこと。
なのに、ちょっと顔の作りがいいからって小さい頃から女子にモテモテ。
確かに、髪だってつやつやの黒髪だし、目は二重でぱっちりしてるし、鼻筋もとおってる。肌だって、ニキビひとつない、きれいなクリアスキンだよ。
でも、性格がワルすぎる。みんな、騙されてるんだよ。あの、イジワル男に!
私は式見と、非常に不本意ながら、ずっといっしょだったからわかるんだ。
保育園、小学校、そして中学校。住んでいる家も近いから同じ通学団。毎朝、もう見飽きるくらい顔を合わせていた。
中学生になったので、通学団からは解放されたけどさ。
気の合う友達とだけ一緒に通学できる――と思っていたのに。
新学期早々、同じクラスになってしまった。
つまり、ふと教室を見渡すだけで、あいつの姿が視界に入ってしまうのだ。ああ、サイテー。
見ると、教室の前で式見が先生に何かを頼まれていた。
ということは、次にあいつがする行動はわかってる。
私はまるで動物学者のようにあいつの次の行動を予測することが出来るのだ。スゴいでしょ。
ほおら、やっぱり私の席に向かって歩いてくる。
そして、次に言うコトバももうわかってるのだ。
「花井、先生に雑用頼まれたからお前も着いてきて」
はい、大正解。
式見の思ってることなんて、私にはお見通しなんだから。
「なんで私まで行かなきゃいけないの」
ちょっと背が高くて足が長いからって、見下ろしてこないでくれるかな。
「あれ、花井。前髪、髪切った? 切ったよね、ぜったい」
こ、こいつ!
数センチしか切ってないのに、どうして気付けるのっ?
いつもながらの洞察力だけど、毎回驚いてしまう……。
だけど、認めてなんてあげない。ただ単に、くやしいだけだけなんだけどね。
「切ってない」
「ふうん、そうなんだ。じゃあ、着いてきてね。職員室まで」
なんでそこで〝じゃあ〟になるのよ!
全く持ってわけがわからない。
でも結局いつも、私は式見の思い通りになっちゃってるんだろうな。



