先輩はぼくのもの


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「想汰くん、明けましておめでとう」

「おめでとうございます、先輩」


大晦日。
想汰くんを家に呼んで家族みんなでカウントダウン。
そして、年が明けた0時過ぎ。

「…あんたさえいなければ最高だったのに」

「あ!?年明け早々うぜーな」

「うるさい」

「は!?テメェからケンカふってきたんだろ!?」


まーたやってる、このふたりは。

もちろん龍弥も一緒。

相変わらずいがみあってるけど、やっぱり前とは違う。
それに

「傷少しマシになりました?回復力キモイですね」

「テメェ、心配してんのかバカにしてんのかどっちなんだよ!?」

「心配してるわけないでしょ」


なんだか、想汰くんも【素】?を出してくれる事が多くなった気がする。


「ふたりとも新年早々うるさいよ!」


大好きな人と過ごせる。
なんて 
幸せな時間なんだろう。


ヴーッ

亜紀からあけおめメールがきた。
田村くんからや他の友達からも。


「先輩、スマホすげー鳴ってますね」

「え!そんなことないよ」


想汰くんはわたしの顔を覗き込んで

「うわき?」

と、とてつもなく可愛い顔で言ってきた。


その可愛すぎる顔に胸が撃ち抜かれて、しばらく放心状態のわたし。


「…先輩?」

無自覚だからこわいなぁ。

「そんなわけないでしょ!亜紀や田村くん達からだよ!」

急いで否定をする。


「ふーん…。浮気なんて許さないからね」

可愛い顔をしたと思ったら、いきなりわたしの反応を伺うような表情でジッとわたしを見る。


「するわけないし」

安心をしたのか、フッと笑って「よかった」と言う想汰くん。


「おい想汰。酒飲もうよ」

「は?無理だし」


酔っ払ってる龍弥とそんな龍弥をあしらう想汰くん。
そんなふたりを見ていると、またスマホが鳴った。



〈明けましておめでとうございます。ちょっと相談したいことがあるので、狩谷に秘密で会えますか?〉

メールの相手は瀬戸晃くん。


相談って…サプライズのことかな?
想汰くんに秘密って…



どうしよう。。。




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「ありがとうございます。時間作ってもらっちゃって」

「いえ…」


結局、想汰くんに秘密で瀬戸くんと会ってしまった。


「ここのカフェ、桜井先輩の家から遠いですけどよかったんですか?」

「うん」

いや、遠い方がいい。
やましい事なんて何もないけど、もし想汰くんに会ってしまったら…と思うと地元から4駅ほど離れた場所にあるカフェを選んでしまっていた。


それに
「サプライズ…もし想汰くんにバレたら大変でしょ?」

なんて、ちょっと恩着せがましく言う自分がなんか嫌になる。

「そうですね。助かります」



「桜井先輩って、昔からあそこに住んでるんですか?」

「え、なんで急に?」

「別に理由はないです。聞いてみただけなんで」

「そっか…。えっと、中学の頃に引っ越してきたの」

「そうなんですね」



なんか…もしかして
「気を遣ってる!?」

「…はい?」

瀬戸くんは、あからさまに《は?》という表情をした。


「気を遣って話題を考えてくれてるのかなぁって」


すると、瀬戸くんがブハッと吹き出して笑った。


「面白いですね、先輩って」

そう言ってケタケタ笑い続ける。
え、わたしそんな面白いこと言ったかな??


「桜井先輩の頭の中ってお花畑なんでしょうね」

「え…?」

それは一体どういう意味で…


「あー、すみません。言い方が悪かったですね。悪い意味じゃないですよ。むしろ良い方で」

「いや、良い意味になんて聞こえないんだけど」

「良い意味ですって。人を疑わないんだなぁって」


疑う…


「??わたしが瀬戸くんを疑うってこと?だって、そんな理由ないじゃない」


「…ー。。そっか、、いきなり俺に声かけられて狩谷に秘密にしてまでこうして会ってもらってんのに?」


瀬戸くんの表情が少し暗くなり、だけどニッと微笑んだ。


「だって…サプライズでしょ?想汰くんの為なら協力出来ることはしたいから」

なんだろう
この、少し怖いというか
なんというか、、
いきなり空気が変わったような、、、


「…ーそうですよね!すみません、変な事言って。からかっただけなんで気にしないでください」


あ、さっきまでの穏やかな空気に戻った。
気にしすぎだったのかな。