薄曇りの夜。
ライトアップされた街を見下ろしながら、花恋がひとりベンチに座っている。
花恋(モノローグ)
(……怖かった)
(かわいくて優しかったはずの、うるがあんなふうに変わるなんて)
(……いや、変わったんじゃなくて、元々ああだった?)
ト書き:
花恋がギュッと膝を抱える。
花恋(モノローグ)
(清楚に真面目に、やり直すはずだったのに)
(なにこれ……息が、詰まりそう)
ト書き:
背後に誰かの気配。
静かな足音。
御影 司(低く)「……逃げ場所、探してたのか」
花恋(振り向き、目を見開く)「……司」
御影 司「お前、屋上好きだったよな」
花恋(苦笑)「高校の頃ね。よくサボってた」
御影 司(わずかに笑う)「俺が連れてったんだろ。“授業より、俺”って言った」
花恋(視線をそらして)「……懐かしいこと、よく覚えてるね」
ト書き:
花恋が立ち上がろうとすると、司が肩を掴む。
御影 司(真顔)「待てよ」
花恋(戸惑って)「なに?」
御影 司「話がある。今じゃなきゃ、ダメなんだ」
ト書き:
強引ではない。でも、有無を言わせない迫力。
御影 司(視線を外しながら)
「お前、なんで……黙っていなくなった?」
花恋(ハッとして)「……それは……」
御影 司(淡々と)「“真面目に生きたいから”とか、“ギャルやめたかった”とか、そんな理由じゃ納得できない」
花恋(伏し目がちに)「……司が、怖かったの」
ト書き:
沈黙。風が吹く。
花恋「毎日追いかけてきて、誰かと話してると不機嫌になって、連絡は一分遅れたら怒って……」
御影 司(ぽつりと)「ああ、それくらい……お前のこと、本気だった」
花恋「……重かったよ、あの時の私には」
ト書き:
司が立ち上がり、花恋の前にしゃがみこむ。
御影 司(ゆっくりと、でも真っ直ぐに)
「だったらもう一度やり直そう」
「今のお前なら、俺の“重さ”に慣れてるかもしれないし」
花恋(目を見開いて)「……なにそれ、意味わかんない」
御影 司(じっと見つめて)「“花恋を他の奴に奪われるくらいなら、壊したほうがマシ”って、今でも思ってる」
花恋「……っ」
ト書き:
司の手が、花恋の頬に触れる。
そのまま、手のひらで優しく包む。
御影 司(低く、熱く)
「……花恋、お前はずっと、俺のものだったんだよ」
ト書き:
花恋が思わず後ずさる──が、司がその腰を支えて、距離をゼロにする。
御影 司「“元カレ”なんて、言わせない。まだ、終わってないから」
花恋(モノローグ)
(この人は、変わってない)
(好きなものにまっすぐで、傷つけることもいとわないくらい……)
(怖いほど、真剣だった)
ト書き:
その瞬間──
屋上のドアが「ガチャッ」と開き、誰かの影。
桐生 澪(冷たい声)「──過去にすがるの、もうやめたら?」
ライトアップされた街を見下ろしながら、花恋がひとりベンチに座っている。
花恋(モノローグ)
(……怖かった)
(かわいくて優しかったはずの、うるがあんなふうに変わるなんて)
(……いや、変わったんじゃなくて、元々ああだった?)
ト書き:
花恋がギュッと膝を抱える。
花恋(モノローグ)
(清楚に真面目に、やり直すはずだったのに)
(なにこれ……息が、詰まりそう)
ト書き:
背後に誰かの気配。
静かな足音。
御影 司(低く)「……逃げ場所、探してたのか」
花恋(振り向き、目を見開く)「……司」
御影 司「お前、屋上好きだったよな」
花恋(苦笑)「高校の頃ね。よくサボってた」
御影 司(わずかに笑う)「俺が連れてったんだろ。“授業より、俺”って言った」
花恋(視線をそらして)「……懐かしいこと、よく覚えてるね」
ト書き:
花恋が立ち上がろうとすると、司が肩を掴む。
御影 司(真顔)「待てよ」
花恋(戸惑って)「なに?」
御影 司「話がある。今じゃなきゃ、ダメなんだ」
ト書き:
強引ではない。でも、有無を言わせない迫力。
御影 司(視線を外しながら)
「お前、なんで……黙っていなくなった?」
花恋(ハッとして)「……それは……」
御影 司(淡々と)「“真面目に生きたいから”とか、“ギャルやめたかった”とか、そんな理由じゃ納得できない」
花恋(伏し目がちに)「……司が、怖かったの」
ト書き:
沈黙。風が吹く。
花恋「毎日追いかけてきて、誰かと話してると不機嫌になって、連絡は一分遅れたら怒って……」
御影 司(ぽつりと)「ああ、それくらい……お前のこと、本気だった」
花恋「……重かったよ、あの時の私には」
ト書き:
司が立ち上がり、花恋の前にしゃがみこむ。
御影 司(ゆっくりと、でも真っ直ぐに)
「だったらもう一度やり直そう」
「今のお前なら、俺の“重さ”に慣れてるかもしれないし」
花恋(目を見開いて)「……なにそれ、意味わかんない」
御影 司(じっと見つめて)「“花恋を他の奴に奪われるくらいなら、壊したほうがマシ”って、今でも思ってる」
花恋「……っ」
ト書き:
司の手が、花恋の頬に触れる。
そのまま、手のひらで優しく包む。
御影 司(低く、熱く)
「……花恋、お前はずっと、俺のものだったんだよ」
ト書き:
花恋が思わず後ずさる──が、司がその腰を支えて、距離をゼロにする。
御影 司「“元カレ”なんて、言わせない。まだ、終わってないから」
花恋(モノローグ)
(この人は、変わってない)
(好きなものにまっすぐで、傷つけることもいとわないくらい……)
(怖いほど、真剣だった)
ト書き:
その瞬間──
屋上のドアが「ガチャッ」と開き、誰かの影。
桐生 澪(冷たい声)「──過去にすがるの、もうやめたら?」

