「魔法使いたちのお姫様のアーサー。最新話で主人公を守って死んじゃったの」

早梅の目から涙がまた溢れていく。彼女はアニメの世界とはいえ、推しを亡くして悲しんで泣いていたのだ。

(とりあえず、誰かにいじめられたとかじゃなくてよかった)

ロメオはホッとしたものの、心の中にモヤモヤとした気持ちがあることに気付く。それが嫉妬だとわかるのに時間はかからなかった。

「ね?呆れちゃうでしょ?」

早梅が泣きながら言う。ロメオは早梅を強く抱き締めながら答えた。

「呆れはしないよ。でも、他の男のことを考えて泣くのは嫉妬するかな」

「し、嫉妬……」

早梅の涙が止まる。ロメオは彼女の頰に触れた。

「早梅の泣き顔も可愛いけど、僕は笑った顔も大好きなんだ。笑って?」

早梅が口角を上げる。それはロメオがずっと見たかった心からの笑顔である。

「Ti amo(愛してる)」

二人の唇がゆっくりと重なった。