「早梅、Cena（夕食）できたよ〜。冷めないうちに食べよう？」

「うん……」

早梅はティッシュで鼻を噛んだ後、テーブルの方へと歩いて来る。ロメオは早梅の椅子を引いた。彼女は涙を拭いながら「ありがとう」と呟く。ロメオは「どういたしまして」と笑い、早梅と向かい合うよう置かれた椅子に座った。

「いただきます」

手を合わせて挨拶をした後、二人は夕食を食べ始める。早梅はミートボールを一口食べた後、「おいしい」と言い口角を少し上げる。ロメオには、それが無理をして笑っているのだとすぐにわかった。

「無理して笑わなくてもいいよ。辛いことは辛いって言っていいんだよ」

ロメオがそう言うと、早梅の瞳からまた涙が溢れ出した。ロメオは立ち上がり、彼女の背中を優しく撫でる。

（早梅の悲しみが少しでも癒えますように）

ロメオは心の中で何度もそう呟いた。



夕食を食べ終えた後、ロメオは洗い物を済ませてもキッチンにいた。食後のコーヒーを淹れているのだ。

「早梅には特別にラテ作っちゃうもんね！」

エスプレッソコーヒーをマグカップに注いだ後、温めたミルクを上に注ぐ。そして、ラテアートを描き始める。

（早梅の好きなアニメにしよう！）

アニメ好きな早梅は、一年ほど前からハマっているアニメがある。それは「魔法使いたちのお姫様」という逆ハー恋愛ファンタジーだ。その名の通り一人の少女が多くの魔法使いから「姫」と呼ばれ、様々なイベントを共に過ごし、恋をしていく。