お断りしたはずなのに、過保護なSPに溺愛されています

午後10時。
夜の帳が下りた部屋には柔らかな明かりだけが灯っていて、静けさが空気を包んでいた。
短時間の交代でやってきた松浦は、部屋の確認を終えてから、ソファに座る紗良に声をかける。

「……起きてました?」

「うん、なんか寝付けなくて」

「そりゃ、あれだけいろいろあれば無理もないですね」
と、松浦がぽつり。

しばらく雑談をしたのち、紗良がぽろりとこぼす。

「……橘さんって、昔からあんなに冷静なんですか?」

松浦は少し考えてから、ふふっと笑う。

「実は、意外な弱点もあるんですよ」

「橘さん、高いところが苦手なんです」
「えっ、うそ……」

「エレベーターのガラス張りとか、観覧車とか絶対無理。外見とのギャップに、私も最初びっくりしました」

「かわいすぎる……」
紗良が思わずくすくす笑うと、松浦は「内緒ですよ」と小声で言った。