車椅子に乗せられて、エレベーターへ乗り込んだ。
ボタンを押す手を一瞬止めて晴が声をかけてくる。
「で、行くとこは屋上?」
「さすが晴さん、よく分かってるねぇ」
「いいけど、今日は曇ってて寒いからホントにすぐ戻るからな」
「分かったよ」
エレベーターが開いて、晴は屋上へと続く扉に向かう。
二人の間に僅かな沈黙が流れた。
「ねぇ晴」
「何」
「最後のライブの時。私のことを信じてくれてありがとう。あの時ね、冬夜からの手紙を読んでくれた時に心から晴と分かり合えた気がした。あぁ、この人は絶対に私を見放さないんだって。言葉だけじゃなくて、態度でも伝わってきたから」
「小夏が教えてくれたんだよ。全部。生きるってことがすごく奇跡に満ちた素晴らしい世界なんだって」
「うん。私は冬夜のことがあって、大切な人や物を作ってもいつかはみんな無くなっちゃうって怖かった」
「僕もだよ。どんなに思っても、陽菜のことが忘れられなかったのを小夏が新しい道はこっちだよって教えてくれたんだ」
屋上へと続く重い鉄扉をあけると、曇っているという晴の言葉は外れたみたいに夕日が差し込んでいた。
「ふふ、今日も明日も世界はきっと優しいね。この夕日みたいに私たちを包み込んでくれてるね」
「そうだな」
「だから……私、また歩き出すね。ちゃんと前を向いて」
「うん。僕は絶対そばに居るよ」
「晴ーー」
そう言って見つめるだけで、言葉は要らなくて、私は目を閉じた。
晴の柔らかな唇が重なる。
今目の前に晴が居てくれるのに、逢いたいと思ってしまった。
もっと深く深く彼の心の中まで入り込みたい。
ボタンを押す手を一瞬止めて晴が声をかけてくる。
「で、行くとこは屋上?」
「さすが晴さん、よく分かってるねぇ」
「いいけど、今日は曇ってて寒いからホントにすぐ戻るからな」
「分かったよ」
エレベーターが開いて、晴は屋上へと続く扉に向かう。
二人の間に僅かな沈黙が流れた。
「ねぇ晴」
「何」
「最後のライブの時。私のことを信じてくれてありがとう。あの時ね、冬夜からの手紙を読んでくれた時に心から晴と分かり合えた気がした。あぁ、この人は絶対に私を見放さないんだって。言葉だけじゃなくて、態度でも伝わってきたから」
「小夏が教えてくれたんだよ。全部。生きるってことがすごく奇跡に満ちた素晴らしい世界なんだって」
「うん。私は冬夜のことがあって、大切な人や物を作ってもいつかはみんな無くなっちゃうって怖かった」
「僕もだよ。どんなに思っても、陽菜のことが忘れられなかったのを小夏が新しい道はこっちだよって教えてくれたんだ」
屋上へと続く重い鉄扉をあけると、曇っているという晴の言葉は外れたみたいに夕日が差し込んでいた。
「ふふ、今日も明日も世界はきっと優しいね。この夕日みたいに私たちを包み込んでくれてるね」
「そうだな」
「だから……私、また歩き出すね。ちゃんと前を向いて」
「うん。僕は絶対そばに居るよ」
「晴ーー」
そう言って見つめるだけで、言葉は要らなくて、私は目を閉じた。
晴の柔らかな唇が重なる。
今目の前に晴が居てくれるのに、逢いたいと思ってしまった。
もっと深く深く彼の心の中まで入り込みたい。


