キミのために一生分の恋を歌う③ -extra stage-

2人きりになると晴は私のベッドの隣に座った。

「あれ、診察しないの?」
「ん? だって何があったのかだいたい分かってるし」
「やっぱりすごすぎだね」
「診察よりも大事なことがあるでしょ」

私はそっと晴の肩に寄りかかって、手を伸ばした。
晴はその手を受け取り、自分の手を優しく絡ませてくれる。
恋人繋ぎ、晴の手はいつも温かい。
私はいつも冷たいから、まるで晴に温もりをもらってるみたい。

「一応聞く。どうして泣いたんだ」
「……すみちゃんと小春が必死に私のこと慰めてくれるんだもん。あの2人、私以上に私のこと分かってくれてるから」
「小夏にはたくさんの味方がいる。だからこれからも絶対に大丈夫だ。だけど不安になった時や苦しい時は我慢せずに言うんだ。見え透いた嘘なんか、ついても無駄」
「ありがとう、いつも私のこと真剣に考えてくれて」
「僕や高瀬さんに心配かけたくないと思ってやったのは分かるから」

でもウソはダメだ! とコツンと拳で叩かれた。

「痛い〜!」
「そんなのなんでもないだろ」
「痛いものは痛いし」
「はいはい。小夏はさ、しばらく絶対は無理できないけど。その先のことはゆっくり考えていけばいいよ」
「分かった。じゃあ今のげんこつのお詫びに散歩に連れてって」
「ねぇ、聞いてた? しばらくは絶対安静なんですけど」
「じゃあ仕方ないから車椅子でもいいよ」

もう、僕もとことん小夏に甘いなぁと言いながら、晴は車椅子を取りに外に出ていった。